昼間人口に見る都市の姿(4)

(人口と昼間人口 国勢調査 平成22年と27年の比較)

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 国内主要都市の人口と中間人口を、国勢調査の平成22年と27年の値を比較してみた。

 人口を見ると、国内主要都市の中では、神戸市と北九州市だけが人口が減少している。神戸市の昼間人口を見ると、人口減少幅の2倍ほどの減少となっている。昼間人口の増減は、夜間人口の増減と流出入人口の増減の和となるから、これは、神戸市内で、夜間人口の減少と流入人口の減少が同時に発生したことを表している。

 神戸市のこの結果を見ると、久元市長が神戸市の人口減少を「人口減少社会」から説明をしようとすることが適切でないことがわかる。神戸市に起きている事象は、大都市共通の出来事ではなく、かなり都市の固有事情に基づくものであると考えられる。また、神戸市の人口減少を都市環境から説明することも適切ではない。都市環境を向上させて人口減少対策とすることも、人口減少による弊害の緩和にしかすぎないといえる。

 

 その他の都市を見ると、人口が増加しており、昼間人口もおおむね同程度の増加を示している。大阪市については、人口が2.5万人増加しているのに対して昼間人口はその5分の1足らずの増加しかしていないのが特徴的だ。これは、都心の経済活動の活性化によるものではなく、居住人口だけが増加する、人口の都心回帰を表すものかもしれない。

 川崎市は、人口が約5万人増加しているが、昼間人口は約2.6万人しか増加していない。これは、川崎市ベッドタウン化の傾向を示すものかもしれない。