新たに建設されるべきアクセス線は、どのような交通手段となるだろうか。
筆者は新交通システムが妥当であると考える。
ポートライナーは、大変すぐれた特徴を持っている。
(1)無人運転による運行コストの安さ
(2)運行時間、運転本数の弾力性が高い
(3)建設コストの安さ
(4)交通渋滞がないこと
(5)最小曲線半径が小さく、急勾配での走行が可能
(6)ホームと車両の間に段差がなくバリアフリーである
ポートライナーは、早朝から深夜まで、ほとんど待ち時間なしに乗車することができ、運行の正確さは、利用者にとって本当に安心感が高い交通機関である。
一方で、デメリットとしては、車両の小ささによる、圧迫感、混雑感、快適性の不足が指摘されている。
ポートライナーは確かに、JRや、阪神、阪急などの在来の鉄道に比較すると小さな車体である。
そこで、ポートライナー、地下鉄海岸線、地下鉄西神線の3者の車両の規格を表にまとめてみた。
これを見ると、車両の長さはポートライナーは、地下鉄海岸線、西神線の車両の半分程度であるが、車幅については、地下鉄海岸線と同等である。高さについても、西神線との差異は36センチ程度であるが、地下鉄海岸線とは同等である。西神線は別格としても、海岸線とは、車体長はともかく、車幅と高さについては大きな差はない。さらに調べてみると、ポートライナーの車両内側の天井高は2,115mm であり、一般の通勤列車の天井高は2,280mmだそうだから、16.5センチしか違わない。しかし、ポートライナーの方が圧迫感が強く感じられるのはなぜなのだろうか。
(1)ポートライナーの車内(2020型)
(出典 Wikipedia)
(2)地下鉄海岸線の車内(5000型)
(出典 Wikipedia)
両者を比較してみて、気がつくことは、天井の付属物の配置についてである。
海岸線の方は、付属物が車体の両サイドにまとめられているのに対して、ポートライナーには、車体の中央部に、吊り輪やその取り付け金具、手すり等、様々な付属物がせり出している。背の高い人にとっては実際に頭をかすめることもあるし、見た目にも、元々低い天井がことさらに低く感じられる。したがって、これらの付属物を極力排除するようにして、頭上の空間を広く取る工夫をすれば、ポートライナーの乗車時の圧迫感を減少させることができるのではないだろうか。
車内の椅子の配置も、進行方向に向けるのではなく、横向きの配置の方が車内が広く感じられるような気がする。こうした事も、さらに工夫の余地があるのではないだろうか。
参考までに、バスだと乗降口に大きな段差がありバリアフリーではないし、天井は 1,890㎜(三菱ふそうエアロクイーン(45席))と、ポートライナーよりさらに窮屈である。
以上のように、ポートライナーは多くのメリットがあり、車体が狭いことは、他の交通手段に比べて決定的なマイナスにはならないと考える。
しかし、なにより、既存のポートライナーのインフラを活用できることが決定的に大きなメリットである。