ニトリがポートアイランドに新物流センターを開設

2021 年 9 月 27 日
報道関係者各位 株式会社ニトリホールディングス
株式会社ホームロジスティクス


国内物流拠点の再配置 ~兵庫県神戸市に物流センター新設~


 株式会社ニトリホールディングスは、兵庫県神戸市に、新たに物流センターを開設します。運用は、株式会社ホームロジスティクスにて行います。
 ニトリグループは、多くのお客様へより一層の豊かさを提供するために国内物流拠点の再配置を行っております。石狩 DC に続き、第 2 弾として神戸 DC を新設いたします。
 ニトリ店舗の出店加速、お客様のライフスタイル変化に伴う EC 需要拡大など、物量に見合う入出荷機能の拡充、コスト削減を図るべく、物流センター機能の全体最適をはかります。今後もニトリグループが一体となり、お客様の更なる利便性向上に取り組んでまいります。
 既存の物流センターである、関西DC(神戸市中央区)より2.5kmほどの距離に立地します。また、神戸圏に位置する立地環境優れたアクセス性を持つ神戸港に至近しており、関西圏の物流拠点として広域配送にも最適な立地です。

施設概要
(1) 名 称 :神戸DC(仮称)(※1)
(2) 住 所 :〒650-0045 兵庫県神戸市中央区港島4丁目7番1
(3) 構 造 :S構造、耐震構造、地上4階建
(4) 敷地面積 :9,752.58坪、32,239.96㎡
(5) 延床面積 :24,609.72坪、81,354.46㎡
(6) 着工時期 :2021年11月1日予定
(7) 竣工時期 :2022年11月5日予定 

※1…DC:Distribution Center(在庫保管型物流センター)の略称。

 

国内物流拠点の再配置~兵庫県神戸市に物流センター新設~-1.pdf (homelogi.co.jp)

 

 株式会社ニトリホールディングスが、ポートアイランドに新たに物流センターを開設すると発表した。ニトリグループは、国内物流拠点の再配置を行っており、神戸DCは石狩DCに続く国内第2弾とのことである。神戸が選ばれたのは、元々ポートアイランド(港島1丁目)に物流施設を持っていたことと、神戸圏に位置する立地環境と神戸港に隣接する優れたアクセス性により、関西圏の物流拠点として広域配送にも最適な立地と評価されたためとのことである。

 これは大変重要な指摘であると考える。神戸圏に位置する立地環境とは、従業員の確保のしやすさであったり、従業員のための住環境が優れていることであったりということを意味しているのであろう。そして、優れたアクセス性により、関西圏全体の広域配送に最適と評価されたということだ。

 ニトリが最適と評価したということは、他の企業にとっても最適であるということを意味するだろう。つまり、これこそが神戸の強みなのだ。物流という最も合理性が追求される分野で最適と評価されたことは、人の移動についても最適と評価される可能性があるだろう。

 現在、神戸市は、大阪湾岸道路の西伸部の建設を進めている他、三宮には西日本最大級のバスターミナルも建設している。現在でも高い評価を得ているところに、さらにそれらの能力を高める取り組みが進められている。今後、これらのプロジェクトが進めば、神戸に物流基地を求める動きはより一層強まる可能性があるだろう。神戸市には、これらを活かすためのビジョンやプロジェクトはあるのだろうか。果たして、それらの需要を受け入れるだけの容量が神戸にあるのだろうか。

 「神戸市企業進出総合サイト」を見ると、神戸流通センター、西神インダストリアルパーク、神戸ハイテクパークは「分譲済み」となっており、あの広大であった、神戸テクノ・ロジスティックパーク、神戸サイエンスパークさえも、ほとんどが分譲済みで、残りはわずかといった状態のようである。

産業用地を探す | 神戸市 企業進出総合サイト KOBE BUSINESS WIND (kobe-investment.jp)

 

 かつて神戸市は積極的な開発により産業用地を生み出してきた。それは神戸に大きな発展をもたらしたが、その一方で「開発行政」として強い批判も受けてきた。それらの土地は売れ残り、無駄な投資、開発のための開発であると非難されてきた。(これに対して、不思議なことに、大阪はこのような批判にはさらされなかった。現在進められようとしているIRこそ、「開発行政」と呼ぶべきだろう。)しかし、現在の状態を見れば、全く無駄なことはなく、神戸市民の経済基盤の確立のため、我が国の経済の振興のために大いに役立ってきたといえるだろう。

 昨今、人口減少に悩み、福岡市、川崎市の後塵を拝することになり、インバウンドでも出遅れ、外国人観光客で賑わう京都、大阪を横目に、神戸市民はすっかり自信を失ってしまったように感じる。それは神戸市の行政についても同様で、かつての開発行政の力強さは見る影もなく、方向性を見失っているように思う。本来の神戸に期待される役割は何なのだろうか。

 

 先日の朝日新聞に次のような記事が掲載された。

若者が流出する神戸市、福岡市に熱視線 人口と経済、なぜ差が出た?

 

 若い世代を中心に、人口減少が止まらない神戸市。対照的に、人口を増やしているのが福岡市だ。2015年の国勢調査で神戸を抜き、積極的な中心部開発や企業誘致で勢いに乗る。違いはどこにあるのか。31日投開票の神戸市長選を前に、福岡との比較から神戸の将来を考える。

(略)

■悩む神戸市 IT産業に遅れ

 一方の神戸市。1956年に横浜や大阪などとともに最初の政令指定都市となり「5大都市」の一つに数えられた。だが人口は近年減り続け、昨年は指定市で7位。2015~20年の人口増減率はマイナス0.7%と指定市で6番目に減り幅が大きかった。九州第一の都市で周辺から人口を吸収する福岡市と違い、神戸は大阪・京都という関西の3極構造のなかで、むしろ大阪に人口を吸収されている。

 神戸の人口減少で特に深刻なのは20代後半~30代前半の流出だ。神戸もまた、「働く場の創出」が急務になっている。

(略)

■「まねる必要ない」 関西学院大学の角野幸博教授

 関西学院大学の角野幸博教授(都市計画)は、大阪・京都がある神戸と九州第一の福岡は前提が違うとし「福岡をまねる必要はないし、しても効果は薄い」と話す。注目するのは郊外だ。神戸市の面積は福岡市の1.6倍。北側には農村地域が広がる。「港町のイメージゆえに注目されなかった農村や自然の活用をめざすべきではないか」

(2021/10/12 朝日新聞

 

 

 上記のようなアドバイスを鵜呑みにすると、「茅葺き家屋の活用」などが上がってきそうだが、本来するべきことは、常に適地を求め続ける産業活動に対して、受け皿となる場所(用地、オフィスなど)を確保して提供することだろう。