新型肺炎の流行について(39)

 新型コロナウイルス感染症は夏以降の「第2波」が収まらないまま、流行の波がやってきた。「第3波」との見方もあり、1日あたりの国内の感染者数は13日も過去最多を更新。感染が広がりやすくなるとされる冬を前に、経済を守りながら感染を抑えられるのか。予断を許さない状況だ。

朝日新聞 2020/11/13)

 

 新型コロナウイルスの新規感染者数は、しばらく低位で安定していたが、気がつくと第2波のピークを越え、過去最多を記録した。

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(出典:厚生労働省HP)

 

 やはり、気温の低下が影響しているのだろうか。新規感染者数は10月の終わり頃から急激な増加となり、まさに指数関数的増加の様相を呈している。ひとたび増え始めると連鎖が連鎖を呼び、医療の対応が追いつかなくなり、制御不能、まさに爆発といえる状態に陥る可能性がある。それがこのウイルスの恐ろしいところだ。

 

 経済活動への影響が、次々と報じられている。

 冬のボーナスは、全日本空輸ANA)では見送り、日本航空では例年の4分の1、JR東日本では3割減額と大幅な減額が伝えられている。また、紳士服大手の青山商事 全店舗の2割にあたる約160店舗を閉店、ファミリーレストラン最大手「すかいらーくHD」は約200店を閉店するなど、大規模な店舗の閉鎖も伝えられている。

 また、兵庫県が、一般事業の経常的経費や政策的経費の上限を、20年度の当初予算に比べて2割抑制するなどを柱にした予算編成方針を発表している。コロナウイルスによる大幅な税収減に対応した「緊急特例的な措置」とのことだ。

 このように、新型コロナウイルス禍では、一次的な営業の不振だけではなく、次から次へと、後を追うように経費の縮減に努める個々の企業の対応が続いており、これらがさらなる需要の減退を招く累積的な経済の縮小過程が続いている。その中にあって、行政側も税収減にともなって経費の大幅な予算の削減方針を打ち出している。個々の企業は、独立の経営体として収支の均衡を図るのは当然で、やむを得ないことだ。しかし、行政までがそれに合わせて経費を節減すると、経済は歯止めを失って悪循環が止まらなくなってしまう。この負の連鎖を防ぐ最後のアンカーが政府であり、政府は国債の発行や通貨発行権を使って民間とは逆向きの需要確保のための施策を行わなければならない。単に税収に合わせて施策を行うのは無策で、公的セクターの役割を理解しない愚かな行為だ。地方自治体は、政府に実情を訴え、財源の確保を働きかけるべきだ。

 

 また、婚姻届、出生数への影響も報じられている。

 厚生労働省は21日、新型コロナウイルスの感染が広がった今年5~7月の妊娠届の件数が20万4482件だったと発表した。前年同期比11・4%減で、政府の緊急事態宣言の発令が続いた5月は同17・1%とマイナス幅が最大だった。感染を恐れ、届け出るのが遅れたり、妊娠するのを避けたりしたためとみられる。5月以降に妊娠届を提出した人の多くは来年出産するため、86万人と過去最低だった2019年の出生数を来年は大きく下回り、少子化が加速する可能性もある。

毎日新聞 2020/10/21)

  新型コロナウイルス禍は、社会に大きな爪痕を残しつつある。

 

  世界では、11月13日現在で、感染者数累計 5,273万人、死者129万人に上っている。特にヨーロッパでは爆発的な感染が発生しており、たとえばフランスでは、感染拡大が一時落ち着いていた7月末時点で 感染者数累計 225,197人であったものが、8月から再び拡大を始め、11月12日現在で 1,915,282人と、約3ヶ月で8.5倍にもなっている。我が国では、11月12日現在で感染者数の累計は 113,655人であるが、十分警戒が必要だ。

 冬はまだ始まったばかりだ。今一度、一人一人が感染の拡大防止に注意をしなければならない。