神戸空港、遠い1日80便?

 先日、神戸新聞に次のような記事が掲載された。

神戸空港、遠い1日80便 コロナ禍で続く減便運休

 神戸空港の運用規制緩和で合意した1日80便の運航が、少なくとも来春まで持ち越される見通しとなった。新型コロナウイルスの影響で激減した旅客の回復が鈍いからだ。(略)

 発着枠の拡大は、19年5月の関西3空港懇談会で合意された。(略)

航空各社の計画では、10月も40便台で推移する見通しで、80便の運航は一度も実現していない。

(略)

国土交通省によると、発着枠に空きがあれば需要動向に応じた航空各社の増便申請は随時可能。(略)

神戸空港に就航する航空会社の関係者は「増便したい気持ちはあっても、現状では需要が見込まれない。採算割れが分かっている便を増やす判断は難しい」としている。

神戸新聞 2020.10.5)

 

 神戸空港が2019年5月の関西3空港懇談会で、従来の1日60便から80便に規制緩和されたが、その後80便の運航が一度も実現していないという報道であるが、この報道には違和感がある。

 現在のコロナ禍の下で、航空業界は大幅な需要減退に見舞われ、苦境にあえいでいる。その中で、神戸空港も減便しているのは当然の話で、神戸空港規制緩和をしたものの発着枠が埋まらないというのは話が違う。コロナ禍の影響で、航空業界全体の需要が減少しているのであり、神戸空港の需要がないという話ではない。

 これまで本欄でも記したように、今年の8月の国内線の発着回数を見ると、伊丹空港が前年比マイナス19%、関西空港が同マイナス14%となっており、減便は神戸空港だけの話ではなく、航空業界全体の状況だ。神戸空港についてみると、マイナス8%であり、むしろ他の空港よりも減少幅は小さい。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 それをわざわざ、神戸空港規制緩和をしたが便が埋まらないと報道するのは、神戸空港に対する評価、印象をいたずらに損なうものだ。「神戸空港規制緩和といってみても、結局は埋まらないのだ」という、神戸空港規制緩和を目指す動きに対する逆宣伝になっているのではないか。

 神戸空港は、神戸の将来にとって重要な役割を担っている。他の新聞社ならともかく、神戸新聞は地元神戸の新聞社なのだから、神戸の地元の関係者の努力や取り組みの足を引っ張るような報道はすべきではない。