新型肺炎の流行について(37)

 内閣府が17日公表した4~6月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(1~3月)より7.8%減り、3四半期連続のマイナス成長になった。このペースが1年間続いたと仮定した年率換算では27.8%減。成長率のマイナス幅は比較可能な1980年以降で最大で、事実上、戦後最悪の落ち込みだ。コロナ危機が国内経済に与えた打撃の大きさが浮き彫りになった。(中略)GDPの減少率は、コロナの影響が出始めた1~3月期の年率2.5%減から一気に拡大。これまで最大だったリーマン・ショック直後の2009年1~3月期の年率17.8%減も、大きく上回った。

 

朝日新聞 2020/8/17)

 通常、売上が数パーセント減少するだけで不景気と言われるのに、二けたの減少、年率27.8%は想像を絶する数字だ。今回のコロナ不況は姿が見えにくい。大災害や大型の企業倒産のようなショッキングな場面があるわけでもなく、静かに事態が進行している。しかし、事態は確実に悪化しているだろう。生き物に例えるなら、体内に病原菌が広がり、次第に体を蝕み、ある限界を超えたときに、いきなり倒れるようなことが生じるだろう。

 このような事態においては、企業の経営効率や自助努力の問題ではなく、世界的、全人類的な問題がある局面に集中的に被害を及ぼしているにすぎないから、公的な援助、十分な資金供給が必要だ。個々の企業を救うことが、社会全体の崩落を救うことになる。

 

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(出典:厚生労働省HP) 

 新規感染者の推移を見ると、1日1500件を超えるような状況からは幾分下がってはいるが、それでも、4月の緊急事態宣言が発令されている頃のピークを上回る数字となっている。今後、感染者数の再びの急増も考えられ、これから秋、冬を迎えることから、一層の警戒、備えが必要であろう。

 8月28日現在で世界の感染者数の累計は2445万人、死者は83万人である。アメリカ、ブラジル、インド等では勢いが衰えることなく直線的に感染者が拡大している。フランスやスペインなどヨーロッパ諸国では、いったん感染が収束したが、活動再開に伴って再び拡大の様相と示している。これから北半球では秋、冬を迎え、爆発的な感染が生じないか心配だ。