新型肺炎の流行について(28)

新型コロナウイルスの国内感染者は4日午後11時現在で、新たに274人が確認された。全国の累計は1万9677人になった。東京都で3日連続100人を超えたほか、隣接する埼玉、千葉、神奈川の3県で計62人の感染がわかった。感染がしばらく確認されていなかった地域でも、再び報告があがり始めている。

朝日新聞 2020/7/4)

 

 

 7月4日、東京都の新たな感染者は131人となり、3日連続の100人超えとなった。感染者の発生は東京都にとどまらず、17都道府県で新たな感染が確認され、全国で275人におよび、緊急事態宣言解除後の最多を更新した。

 一時収束していた新たな感染者の発生は、グラフを見ても明らかなように、再び拡大傾向を示している。しかも、6月の下旬から急速な拡大となっている。

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(出典:厚生労働省

 

 首都圏だけではなく、地方でも再び感染者が確認されるようになってきており、東京の一部の業種を中心に広まった感染が、都内、首都圏、さらには各地方へ拡散し始めているのではないかと考えられる。

 東京都では、先月19日に接待を伴う飲食店やライブハウスの営業も含め、休業要請が全面的に解除された。また、政府は同じ19日に、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請を全面的に解除したところだ。それからいくらも日がたたないうちに、都内の新規感染者は目に見えて拡大を始め、それにつれ、首都圏、地方での感染が報告されるようになってきた。

 感染の再拡大は、今秋以降とみる向きも多かったが、予想以上に早いというのが正直な感想だ。この事態は、新型コロナウイルスの影響の今後の見通しに対する楽観論に水を差すものだ。緊急事態宣言が解除され、市民は次第に日常生活を取り戻しつつあったが、このような感染の再拡大を見てしまうと、人々の行動は再び慎重なものに復さざるを得ないだろう。この状況を見ると、早々に従来の生活を取り戻すことは困難であり、活動の抑制は長期間に及ぶことになるだろう。

 我々は無意識に、4月、5月の緊急事態宣言が最悪の状況のように考えているが、禍(わざわい)は現在も進行中であり、実はまだまだ底には達しておらず、新型コロナウイルスとの闘いは始まったばかりなのかもしれない。このたびの経済的被害は、我々の予想をさらに上回ることになるかもしれない。

 世界全体を見ると、7月3日現在で、感染者数は1087万人、死亡者は51万人となっている。まだまだ、感染者数の伸びは衰えることなく、むしろ、勢いを増しているように見える。