新型肺炎の流行について(23)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、6月8日現在で、感染者は全世界で701万人、死者は40万人に上っている。単純計算だと、致死率は約5.7%となる。

 ヨーロッパでは、スペイン、フランス、イタリア、ドイツなどは拡大ペースが緩やかになったが、アメリカやイギリスなどはまだまだ直線的な感染拡大が続いている。インドやブラジルなどでは、指数関数的なカーブで急拡大を示している。世界全体として見れば、今なお、直線的に感染者が拡大している状況だ。

 今後の見通しとして、極度に警戒する意見もあるが、一部には楽観視する意見もあり、先行きは不透明だ。

 しかし、今までのところ、これだけの大災厄で、驚くべき多くの困難、悲劇に見舞われているにもかかわらず、全体として見れば、世界は決定的な破綻にまでは至らず、想像以上の安定性、強靱さを見せているとも言える。大きな攪乱要因が生じた場合でも、社会には、それを維持しようとする力も働き、一方向に傾いて瓦解してしまうようなものでもないということを表しているように思われる。回転するコマが姿勢を維持するように、水面に生じた波立ちが静まるように、世界は長期的に見れば安定しているのだ。