2月23日の神戸新聞に、「マーケター」の森岡毅氏へのインタビュー記事が掲載された。森岡氏は1972年生まれ、兵庫県伊丹市出身で、神戸大経営学部卒。96年P&Gに入社し、2010年にUSJへ移り、低迷に苦しむUSJを、入場者数を倍増させ、再建したことで知られている。経歴を見ると、神戸にゆかりのある人物である。
インタビューのテーマは、「兵庫や神戸を、もっと元気にできますか」というものだ。
その中で、兵庫県や神戸市はどう映るか、これから、どんな手段が必要か、という質問に対して同氏は次のように述べている。
神戸の未来はやばいです。震災後、港湾機能が分散した経緯もあり、時代に取り残されました。廃れかねないと危機感を持っています。
神戸の現状の認識として、かなり強い危機感を抱いているようだ。
その一方で、神戸市の今後の見通しとして、次のようにも述べている。
新しい産業と学校、そして住環境が整えば、人は集まります。(中略)とにかく企業の本社を誘致しないと。
「企業の本社を誘致」することを第一にあげているのが興味深い。
神戸は都会と自然が一体化している。街並みは美しく、交通が発達し、向かいの淡路島には、この世のうまいものが集中しています。人々の『この街を何とかしたい』という思いが、ブレークスルーを呼ぶ。日本も兵庫も神戸も、まだいかようにもなります」
同氏は、神戸の潜在力について高く評価しており、まだまだ希望は持てそうだ。
そのほか、「企業の人・モノ・カネ・情報・時間・知的財産という経営資源を消費者の価値に集中させること」、それがマーケティングであるとし、「どう戦うかの前にどこで戦えばいいか」を考えることが重要であると述べている。
現在の神戸市は、「どこで戦うか」という戦略が欠けている。方向性を定めきれず、経営資源を集中させることをしないで、戦力をいたずらに分散させ、結果的にどれもが中途半端になっている。ある一点に資源を集中させる中小都市にも太刀打ちができなくなってしまっている。これは、神戸市の問題というより、経営の手腕の問題だ。
森岡氏ならば、神戸はどこで戦えばよいと考えるだろうか。ぜひ、意見を聞いてみたい。
神戸市は、森岡氏を招き、都市戦略を描いてもらえばどうだろう。