新型肺炎の流行について(13)

  4月19日の記事で、新型コロナウイルス感染症の患者の発生の簡単なモデルを計算してみたところ、一日あたり0.081の割合で増加していることがわかった。その後の患者の発生数の推移を見てみると次のグラフのとおりである。

新型コロナウイルス感染症患者の一日あたりの発生数)

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 このグラフを見ると、一日あたりの患者発生数は、4月11日の719人をピークに減少傾向にあることがわかる。

 前回(4月19日)計算した増加率で推計した値と、実際の患者の累積の発生数を比較したのが次のグラフである。

(患者の累計)

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 青色のグラフが実際の感染者数累計の実績値で、オレンジ色が前回(4月19日)に計算した増加率(0.081)で推計した患者数累計の値である。これを見ると、明らかに、患者累計の実績値は推計値を下回っており、患者数の増加が減少したことにより、前回より事態が好転していることがわかる。

 とは言え、1週間で3000人ほど患者数が増加したわけで、まだまだ安心できる状態ではない。

 特に先週は、女優の岡江久美子さんがこの感染症で亡くなったことが報道された。その以前には、人気コメディアンの志村けんさんがなくなり、多くの人々を悲しませた。

 ここで、気になることは、我が国のこの感染症による死者数は4月24日現在で328人と発表されていることである。前記の2人の著名人がこの中に含まれていることに奇異な印象を受ける。というのは、日本全国で無作為に328人の人を抽出して、このレベルの著名な人物が2名も含まれることはあるのだろうか。そこで起きる疑問は、そもそもこの死者の発表数は正しいのだろうかということだ。もしかすると、すでになくなった人で、検査が行われていないために、死者数に含まれていない者がかなりの数存在するのではないだろうか。このレベルの著名人はどんなに少なく見積もっても、1万人に1人ぐらいの存在ではないだろうか。そうすると、死者数はすでに2万人ぐらいあってもおかしくはないことになる。

 これまでも、検査を受けたくてもなかなか検査してもらえないという話が伝わっている。我が国の感染者の状況は、正確に把握ができているのだろうか。それができていないのであれば、感染者数の動向を議論してもほとんど無意味になってしまう。北海道大学の西浦教授のモデルにしても、予測が当たっているかどうかを考える以前の問題だ。

 近年、政府の発表の信憑性については不信感が高まっている。今回についても、多くの国民が政府の発表について疑念を感じている。正しい情報の共有なくして、国民の一致協力は望むことはできない。