新型肺炎の流行について(11)

 新型コロナウイルスの感染者数は、我が国全体で、4月18日に10,433人となり、ついに1万人の大台に達した。

 我が国の感染者数は、アメリカやヨーロッパ諸国に比べると非常に少ないが、それでも、気がつけばいつのまにか1万人に達している。

 感染の拡大は、一人の感染者から複数の人に感染し、さらにその一人の感染者から複数の人に感染することになる。これをモデル化すると、

一人から感染する人の数をaとすると

 1 → a → a^2 → a^3 ・・・・

 という具合に増えていくことになる。

 

 3月18日の我が国の感染者数は 921人であったものが、1ヶ月後には 10,433人に増加したことになる。それでは、一日いくらの増加率(a)で増加したのかを計算すると、その増加率(a)は1.081という値となる。

 これを使って計算したものが次のグラフである。

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 青線は、実際の感染者数の推移をプロットしたものである。オレンジ色は、先ほど計算した増加率(a)を3月18日の感染者数に乗じて計算した試算上の感染者数の推移である。比べると、おおむね、両者は一致しており、先ほどの推論はある程度妥当しているのではないかと考えられる。つまり、感染者数は、おおざっぱには増加率(a)の累乗(初期値×a^経過日数)として表されることになる。

 この計算式を使って今後の感染者数を試算すると、非常に恐ろしい結果となる。9日後の4月27日には感染者は2万人に達し、さらに9日後の5月6日には4万人に達する。5月17日には10万人に達し、6月16日には100万人、7月15日には1000万人、8月14日には1億人に達する。

 もちろん、これは単純な計算上の話なので、このようなことにはならないだろうが、一人の人から複数に感染してしまう感染症の増加の仕方というものの恐ろしさを感じることができる。ほんの1ヶ月前には1000人にも満たなかったものが、今日では10倍の1万人に増加している。そしてこのペースで感染が続いてしまうなら、途方もない感染者を生み出してしまうことになる。

 我々は、大変な危機に見舞われている。すべての人が感染の危険に直面している。だから、一人一人ができる限りの対策、不要不急の活動の自粛、マスク、手洗いなど、感染の抑制に努めなければならない。一人一人が感染を食い止めることにより、感染の連鎖をストップすることができる。自分が感染しないことで、感染の連鎖をストップすることができる。感染の防止は一人一人にかかっている。