新型肺炎の流行について(5)

  3月19日の夜に、大阪府の吉村知事が緊急の記者会見を開いた。

 大阪府の吉村知事は19日夜、緊急の記者会見を開き、20日からの3連休、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、大阪府兵庫県の間の不要不急の往来を控えるよう求めました。

 

  また、兵庫県の井戸知事も 19日夜、記者会見を開いた。

 兵庫県の井戸知事は19日夜、記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、大阪府やそのほかの地域への不要不急の往来を控えるよう兵庫県民に呼びかけました。

 兵庫県内では、これまでに介護施設や病院で集団感染が起こるなど、あわせて92人の感染が確認されています。
 こうした中、兵庫県の井戸知事は19日夜、記者会見で、18日、国の感染症の専門家チームが兵庫県大阪府に入り、この中で、兵庫と大阪の往来を自粛するよう提案されたことを明らかにしました。
 そのうえで、「今、大事なのはクラスター化の防止や、二次感染の封じ込めだ」と述べ、県民に対し、手洗いやせきエチケットを徹底することや、発熱などの症状がある場合は外出を控えることに加えて、大阪やそのほかの地域への不要不急の往来を自粛するよう呼びかけました。
 一方、大阪府の吉村知事が20日からの3連休の不要不急の往来を控えるよう呼びかけたことについて、「これまでも不要不急の外出を控えるようお願いしており、3連休だけの問題ではない。当面は政府の専門家会議がある来週の火曜日までの呼びかけだ」と述べました。
 さらに、吉村知事が「兵庫県で爆発的な感染がいつ起きてもおかしくない」などと述べたことについて、「大阪だってお互いさまだ。人のことはあまり言わないほうがいい」と述べ、不快感を示しました。

(2020年3月19日 19時50分 NHK NEWS WEB)

  

  両知事の19日夜の記者会見について、神戸新聞は次のように報じている。
 兵庫県は往来の「当面の自粛」を求めたのに対し、大阪府は「3連休」に限って呼び掛け、両府県でちぐはぐな要請となった。

 大阪府の吉村洋文知事が兵庫で感染者が増えている状況を取り上げ、強調したことについて兵庫県井戸敏三知事は「(あちらが)指定されたから、こちらも指定した」とぶぜんとした表情。要請に「大阪」との往来を明記した理由を不満げに述べた。

 その上で「だいたい人のことはあんまり言わない方がいい」と強調。「われわれはしっかりこのようなメッセージを出して、県民に訴えている」とした。

 両府県も含めて関西広域連合に参加する関係自治体は15日、感染患者が入院可能な病院間の連携やマスクなどの医療品を融通し合うことを決定したばかり。連合長を務める井戸知事は「その通りに対応していく」と述べた。

 一方、神戸市役所内で報道陣の取材に応じた久元喜造市長は「(国からの)情報が来ていないので、コメントのしようがない」と語り、足早に立ち去った。

( 2020/3/20 06:45神戸新聞NEXT)

 

 この記事で読み取れることは、大阪府の吉村知事の発言が最も具体的だということだ。兵庫県知事は、18日に国の感染症の専門家チームが兵庫県大阪府に入り、この中で、兵庫と大阪の往来を自粛するよう提案されたことは認めており、おそらく、大阪府知事が述べているような根拠を示しての説明があったものと思われる。

 また、国の感染症チームが、兵庫県大阪府に入り、京都や奈良でもない、兵庫と大阪の往来の自粛を要請したとのことなので、感染の中心は兵庫県側にあると推測できる。兵庫県知事の、「大阪だってお互いさまだ。人のことはあまり言わないほうがいい」という発言からも、そのことが推測される。

 今回、大阪府知事が詳細に数字を示して会見したからわかったものの、兵庫県知事だけの情報では、国の感染症チームからどのような情報提供、要請があったのか何もわからない。我が国は民主主義を基本とする社会なので、人々を理由なく強制的に行動させることはできない。根拠を示さないと、行動に結びつけることはできない。したがって、やはり、根拠を丁寧に説明して、人々の自主的な判断を求めることが不可欠だ。また、国民はそれだけの理性を有していると思う。今のような姿では、まさに「知らしむべからず」だ。そのような姿勢は、先進地を自負する兵庫県がとるべきではない。

 また、神戸市長は報道陣からの取材に対して、「(国からの)情報が来ていないので、コメントのしようがない」と語り、足早に立ち去ったとある。市長は評論家ではなく、市民の生命や健康を守る立場だ。仮に情報を持っていなかったとしても、このような重要な情報に接して、なぜ「すぐに情報を入手する」と答えられないのだろう。

 現在、ネット上には、神戸市長に対する批判が、特に他の自治体の首長との比較の点で、多く飛び交っている。そうした市中の評判を裏付けてしまうかのようだ。