新型肺炎の流行について(4)

 新型コロナウイルスによる感染症は急速に拡大し、神戸市内では13日現在で16人の感染者が発生している。9日には兵庫区役所の職員から感染者が発生し、区役所が閉鎖される事態が発生した。また、東灘区のこども園においてはクラスターが発生した。

 感染症は全世界に拡大し、特にイタリア、イランで深刻な被害を及ぼしている。アメリカでも感染者が拡大し、イギリスを除くヨーロッパ諸国からの入国を停止するという異例の状況が出来し、大統領による非常事態宣言が発せられるまでにいたっている。感染症の拡大は、経済活動に深刻な影響を与え、ニューヨーク株式市場では株式の大暴落が発生している。

 今後もアメリカ、ヨーロッパをはじめ、世界中での拡大が懸念されており、先が見通すことができない状況である。

 

 しかしながら、これらの事態はまったく予想ができなかったことではなく、今回の新型コロナウイルスの特徴を考えると当然に予想ができたことだ。感染は人から人へ広がり、まさにドミノ倒しにたとえることができよう。より早いうちにストップできればドミノの連鎖の広がりはより小さなものにとどめることができる。しかし、いったんドミノの連鎖が始まると、すべてのドミノを倒し終わるまで連鎖は続くことになる。これを止めるのは至難のわざだ。

 振り返って、今回、中国で感染爆発が生じた時点で、将来の感染拡大の様相を予想して対応をしておればと悔やまれる。事態の発生初期にはあり得ないと思われるような対策が、先々には当たり前のこととして、さらに大規模な対策を講じなければならないことになる。中国の春節を念頭に、インバウンド需要への影響を懸念し、中国からの入国を早期に制限しなかったことが現在の感染拡大を招き、あらゆるイベントの中止、学校の休校措置などの現在の状況を招いているのだ。対策は時間との戦いだ。今日の対策の遅れは、明日のより大規模な対策を余儀なくさせるのだ。

 再び、神戸市に話を戻すと、久元市長は、事態の拡大が明らかな状況で、わざわざ逆のメッセージを発した。これは、神戸市の組織全体に誤ったメッセージを伝え、神戸市全体の対策を遅らせることになっただろう。また、市民の警戒を遅らせることになっただろう。リーダーは先を正しく見通して、正しい方向を指し示すのが役割だ。危機にあってリーダーの判断誤りは重大な結果をもたらすのだ。