神戸レジャーワールド構想について

 かつて神戸に一大テーマパークを建設する「神戸レジャーワールド構想」というものがあった。計画では現在のポートアイランド2期の西南部の一角が予定されていた。テーマは「世界各地の歴史上の輝いていた時代を再現する」というものであった。当時のダイエーがメインとなり、神戸経済界と神戸市が構想を進め、事業化の一歩手前まで行っていたようだ。しかし、1995年1月の阪神淡路大震災の発生により、それどころではなくなり、そのうちにダイエーの経営も傾き、計画は頓挫してしまった。

 その後、大阪にユニバーサルスタジオジャパンが建設され、開園した。

 現在の視点から見ると、テーマの選択にいささか不安もあるが、テーマパークを都市部に建設し、神戸に新しい産業を導入しようとした狙いは間違ってはいなかったと思う。

 

 人々に必要な物を供給できるだけの生産力がある時代になった現代では、文化の大衆化は世界的に進んでいくと考えられる。したがって、観光やレジャーなどの文化産業のウエイトが大きくなってくるに違いない。こうした文化産業は、大衆を動員することから、交通の集中する都市部が適地と考えられる。今後の都市の発展には、文化産業、エンターテイメント産業が不可欠だと考える。

 エンターテイメント産業の集積のために必要なものはなんだろうか。それは、人材や施設の蓄積だ。

 神戸は、1981年にポートピア博覧会を開催し、大きな成功を収めた。ポートピア博では、ループコースターなどのマシンや最先端の映像技術を用いた施設を集めた、現在のUSJを先取りしたともいうべき先進的なものであった。しかし、これは一過性のイベントに終わり、開催期間終了後、取り壊され、唯一残っていたポートピアランドも2006年に閉園してしまった。せっかく先進的な取り組みを行い、成功をつかんだにもかかわらず、それらは跡形もなく消え失せ、その実績が全く活かせていないのは非常に残念だ。神戸市に長期的な構想力が足りなかったという他ない。

 現在、ポートアイランド2期には、医療産業都市が建設され、スーパーコンピュータをはじめ、理化学研究所や大学、民間の研究施設などが集積し、クラスターを形成するにいたっている。現時点ではまだ大きな成果が出ていないが、今後、集積した人材と設備の中から必ずや成果を生みだしてくるだろう。

 同様に、エンターテイメント産業も集積を作らなければならない。枠組みができれば、人材が集まり、独自の発展を見せるだろう。現在の神戸には、こうした人材を受け入れる受け皿がない。それどころか、市内には芸術工科大学まであるのに、就職先がなく他都市へ流出している状況だ。これでは、いつまでたっても、神戸はエンターテイメントの不毛の地である。神戸にこうした人材を集積する拠点を設ける必要がある。医療産業のクラスターを形成したように、エンターテイメントのクラスターを形成すべきだ。テーマパークはその核となる施設の一つだ。

 こうした産業の受け皿となる施設、テーマパーク等を神戸に再び構想してほしい。

 その適地はあるだろうか。先日、神戸市が、「六甲アイランド南」について、港湾物流拠点の整備計画の凍結を解除する検討を始めたとの報道があった。そうすると、既存の港湾施設の余剰も発生するだろう。たとえば、ポートアイランドの北東の埠頭と埠頭の間を埋め立てるなどしてその用地に当てればどうだろうか。