国内のテーマパークランキングと神戸の可能性

 2018年の国内のテーマパーク・遊園地の年間入場者数のベスト10は次のとおりである。

第1位 東京ディズニーランド東京ディズニーシー(千葉県):3010万人

第2位 ユニバーサルスタジオジャパン大阪府):1500万人?

第3位 ハウステンボス長崎県):288万人

第4位 鈴鹿サーキット三重県):204万人

第5位 サンリオピューロランド(東京都):198万人

第6位 よみうりランド(東京都):183万人

第7位  ひらかたパーク大阪府):120万人

第8位 志摩スペイン村 パルケエスパーニャ(三重県):119万人

第9位 東京ドイツ村(千葉県):103万人

第10位 としまえん(東京都):93万人

 

 地域の分布では、首都圏 5、中部圏 2、関西圏 2、九州 1となっており、大都市圏に集中をしていることがわかる。特に、首都圏の東京ディズニーリゾート(TDR)とユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の存在が圧倒的だ。首都圏の人口が4000万人に対して関西圏は2000万人で、首都圏の50%に相当するが、両者の入場者数の比率がちょうど人口比に合致していることは興味深い。つまり、テーマパークや遊園地というものは、都市型産業であって、周辺に大規模な後背人口が必要だということだ。

 長崎県ハウステンボスは規模でいうと、TDRを超える敷地規模を有しており、大変立派な施設である。最近は新機軸を次々に打ち出し注目を集めているが、それでも、入場者数は300万人にも満たない。しかし、長崎県は、日本列島の西端にあって人口が132万人にすぎず、上記のような視点で見ると大健闘というべきだろう。

 地方のテーマパークには大都市圏のような後背人口がないから、そもそもその地方にまで人を引っ張ってくるところからやらないといけない。その地方に赴く交通費を払わせて、宿泊費を払わせて、その上で、テーマパークにお金を使わせないといけない。大変困難なことに挑んでいるのが地方のテーマパークだといえる。

 しかし、大都市圏のテーマパークは圏内の住民が利用する場合、交通費は少なく、宿泊費も不要で、総体として負担が少なくてすむ。その分が、入園料や園内の飲食や消費に充当できる。だからテーマパークにとって、大都市圏にあって大規模な後背人口を擁することは必須なのだ。

 では、神戸ではこうした産業は成り立つのだろうか。神戸は大都市圏の中にあって、周辺には2000万人の人口がいるから、こうした施設を設置する適地だと考えられる。おまけに交通網が近距離、中距離、長距離ときわめて発達しており、広域からの集客も可能だ。だから、地方のテーマパークと同等の努力を行うならば、圧倒的な優位を発揮するだろう。

 そのように考えると、神戸はそうした地方都市に比べると全然努力が足りないのではないだろうか。

 首都圏にはTDR以外にベスト10に4つの大規模遊園地が存在するが、関西圏ではUSJの他にはひらかたパークのみである。だから、もう1つぐらい大規模な遊園地があってもおかしくはないだろう。

 最近の神戸は、どうして何事にも消極的なのだろう。すべてのことに悲観的で、この点でもある意味、停滞する我が国の縮図のようだ。都市の振興策も資金を投じない小手先の施策ばかりだ。明るい未来を思い描くことなく、人口減少社会を一手に引き受けて、街の荒廃の心配ばかりしている。街の荒廃を防止することが神戸市の人口減少対策になっている。大都市圏だからこそ、人口が集中する規模の経済を活かして大規模な投資が見合うはずだ。神戸にはすべての条件がそろっている。あとは、構想力と実行力だけではないだろうか。