日経BP総研 住みよい街ランキング2019

 日経BP総研が発表した「シティブランド・ランキング ―住みよい街2019―」で、神戸市は全国で第17位、近畿エリアでは、西宮市、芦屋市に次ぐ第3位となった。

 同ランキングは、全国のビジネスパーソンを対象に、実際に住んでいる街/直近で住んでいた街(全国の市および東京23区)に対する「住みよさ」について、インターネット調査を実施し、「安心・安全」「快適な暮らし」「生活の利便性」「生活インフラ」「医療・介護」「子育て」「自治体の運営」「街の活力」の8分野・合計38の評価項目について調査・集計し、ランキングしたものという。

 

 神戸市は、西宮市、芦屋市には及ばなかったものの、全国でベスト20位内に入り、近畿エリアではベスト3にランクされた。この結果を見れば、神戸市は近畿はもとより、全国的にも「住みたい街」として高い人気を有していると評価すべきだろう。

 しかし、近年、神戸市は人口減少に歯止めがかからず、昨年は、日本人に限れば、全国ワーストの人口減少となってしまった。

 全国有数の人気を誇りながら、人口減少はワーストである。これをどのように考えるべきだろうか。

 人口減少は、神戸市の都市の質の問題ではないということだろう。つまり神戸市は住宅地としては人気があるのだが、神戸市に住める人が減っているのだ。どういう状況が考えられるかというと、神戸市に住みたいのだが仕事の関係で神戸市を離れなければならないケース、または神戸市に住みたいのだけれど住宅の価格が高く、市外のより安い住宅を購入するケースなどが考えられる。それは、おそらく、重厚長大産業主体の神戸市の経済的地盤沈下により、神戸市内で高額の所得が得られる仕事が減っていることが原因ではないかと推測する。

 久元市長は、人口減少対策として、上質な都市を目指すといい、第一弾の対策として街灯の増設策を打ち出している。人口減少は神戸市の質の問題ではないのに、人口減少対策のために神戸市の質を上げなければならないという。その結果、政策の方向が、本来注力すべき方向とは異なる「あらぬ方向」に向いているのではないだろうか。