神戸阪急が始動

 10月5日、旧そごう神戸店が「神戸阪急」に屋号を改め、再オープンした。「フェスティバル365」をテーマに、ヒト・モ ノ・コトを通じて新しい出会いを発見するトキメキ、躍動感あるワクワク、親しみやすい心地よさを、毎日提供する百貨店を目指すとのことだ。

 

 開店初日には大勢の客が並び、神戸市民の期待の高さが伺える。催場を大幅に拡張するなど、「フェスティバル365」のテーマに沿った店舗づくりを行っていくと思われるが、店舗の建物にはあまり変化はなく、やはり建物の老朽化は否みがたく、今後の建て替えを前提にしているように思われる。神戸新聞による阪急阪神百貨店社長へのインタビューによれば、神戸阪急の建て替えの可能性についてという質問に対して「タイミングは近い将来、必ず来ると思っている。」と述べている。

 また、阪急阪神百貨店社長は「三宮を西への商圏拡大の拠点とする」と語っているとのことだ。神戸は、人口でいうと150万人ほどであるが、神戸三宮は交通の便がきわめてよく、特にJR、阪神、阪急のターミナルと隣接し、兵庫県下はもちろん、西日本の諸都市と鉄道や高速バスで結ばれている。さらに、周辺を見回しても、競合する大都市があまり見当たらない。実際、岡山や鳥取、四国などからも買い物客が神戸を訪れると聞く。高速バス等で関西圏を訪れる場合、大阪と神戸では片道で1時間近くの時間差がある。そのように考えると、西日本の諸都市から訪れるには大阪よりも神戸の方が圧倒的に便利なのだ。人々の生活の中で、日常の消費生活の水準を超える高度の消費需要というものは、必ず存在する。したがって、三宮に所在する百貨店は、神戸周辺だけではなく、超広域の商圏を有する百貨店になりうる可能性がある。阪急百貨店が、神戸阪急を「西への商圏拡大の拠点」の位置づけを与えていることは、決して根拠のないことではない。阪急百貨店が、そうした視点をもって、梅田本店の単なるサテライトではなく、「西日本の一番店」を目指して店舗づくりを行うなら、必ず大きな成功を収めるだろう。

 一方、これまでの地域一番店である大丸神戸店にとっては、今後、神戸阪急は大きな脅威になるかもしれない。現在でも神戸の交通の拠点は三宮であるが、今後、神戸市の都心はフラワーロードより東に遷移することが予想される。大丸神戸店としては、周辺一帯を含めた街づくり型の戦略を強化し、これまでの顧客をつなぎ止める努力はもとより、目的地として来訪してもらえる魅力づくりに努める必要があるだろう。