神戸のコンベンション政策(1)

 

 

 日本政府観光局(JNTO)が、国内での国際会議の開催実績の統計資料を公開している。

調査統計資料 | 日本政府観光局(JNTO)コンベンションの誘致・開催支援

 

 2017年の国内で開かれた国際会議の都市別の開催件数は次のとおりであった。

(2017年 国内都市別 国際会議開催件数)

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 2017年、神戸市は総開催件数で東京に次ぐ第2位、外国人50人以上、総参加者300人以上の中型・大型国際会議に限ると東京、横浜、京都、福岡に次ぐ第5位であった。

 神戸市での参加者数は、外国人 11,321人、国内 94,932人、総数 106,253人となっている。

 神戸は「コンベンション都市」を日本で最初に標榜した都市であるが、以上の数字を見れば、なかなかの健闘ぶりと言ってよいだろう。特に、大阪を圧倒しているのは注目すべきである。コンベンションの開催件数の多さは、神戸が日本全国から集まるのに便利な場所として選ばれていることを表しており、機能性を必要とする場合のビジネスの中心地になりうる可能性を表しているとも考えられるからである。

 中型・大型のクラスになると、ランキングを落としているのは、施設の受け入れ能力の問題が関係していると考えられるので、今後の伸び代ともいえるだろう。

 

 神戸のコンベンション都市としての優位性は、

(1)国土の中央部にあり、どの方面からでも集まりやすい位置にあること

(2)新幹線(東海道・山陽、九州の全列車が停車)、空港(神戸空港伊丹空港関西空港)などの広域交通機関からのアクセスが非常に優れていること。神戸空港の運用時間拡大は、利便性をさらに高めるに違いない。

(3)海と山の両方が望め、景観がすぐれていること

(4)食文化が充実していること

(5)周辺に京都、奈良、姫路等の観光地が集積していること

 などが挙げられる。これだけの優位性を保持している都市は他には見当たらず、国内で開催件数が2位になっているのは、当然の結果ともいえる。むしろ、中型・大型のクラスで、本来、獲得できるはずの需要を、施設の能力不足で取り損なっているのではないかということが考えられる。

 神戸のコンベンションセンターは、1980年頃に整備がされたもので既にかなり老朽化している。大型のコンベンションにも対応が可能な最新の施設を備えた新コンベンションセンターの建設に早期に着手すべきであろう。