ルミナリエの進化(1)

「第25回神戸ルミナリエ」の開催について 

 「神戸ルミナリエ」は、阪神・淡路大震災犠牲者への鎮魂の意を込めると共に、都市の復興・再生への夢と希望を託して、大震災の起こった平成7年の12月に初めて開催しました。以来、震災の記憶を後世に語り継ぐとともに神戸の希望を象徴する行事として多くの皆様に支えられ、神戸の冬の風物詩として定着し、昨年は約343万人もの来場者が訪れました。 第25回目となる本年の行事につきまして、本日開催しました神戸ルミナリエ組織 委員会・実行委員会合同会議において、本年の開催日程を決定しましたので、お知ら せいたします。 

「第25回神戸ルミナリエ

【開催趣旨】    阪神・淡路大震災の犠牲者への鎮魂と大震災の記憶を永く後世に語り継いでいくと ともに、まちのさらなる魅力発信と神戸地域への集客を目的に開催する。


【開催期日】    令和元年12月6日(金)~12月15日(日) 10日間

【開催場所】    旧外国人居留地および東遊園地
 
【主  催】    神戸ルミナリエ組織委員会   (主催団体)     兵庫県/神戸市/神戸商工会議所公益社団法人ひょうごツーリズム協会/ 一般財団法人神戸観光局

神戸ルミナリエ組織委員会オフィシャルホームページ)

kobe-luminarie.jp

 

 ルミナリエは、震災のあった1995年に始まり、鎮魂と追悼、街の復興を祈念して、震災で激減した神戸への観光客を呼び戻す目的で毎年12月に開催されている。

 

ルミナリエ 来場者数の推移)

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 ルミナリエの来場者は、初年度が254万人で、その後数年で急拡大し、過去最大の来場者を集めた2004年は538万人を記録した。当初14日間の開催期間であったが、来場者の増加とともに警備費用も増加し、周辺道路の渋滞や駐車場の混雑などによって周辺のクリスマス商戦に支障をきたすようになったことなどを理由に会期が短縮されることとなり、2007年からは12日間、2015年からは10日間に短縮されている。最近の来場者数は300万人台で推移している。

 

 ルミナリエはどう評価すべきだろうか。

 神戸は、幕末の開港後に急速に発展した都市で、他の大都市のような歴史的蓄積を有しておらず、伝統文化的なものの蓄積も乏しい。特に伝統的な祭礼等のイベントは、自然発生的なもので、なんらかの故事に基づいたりその地域の人々の思いが結実するものであったり、人工的に作ろうと思ってもなかなかうまくいくものではない。「神戸まつり」がいつまでも、市民の身につかず、どこか居心地の悪さを感じ続けるのも、その事実を表している。

 しかし、ルミナリエは違う。市民が同時に体験した阪神淡路大震災の悲劇と復興、その悲しみと希望の共有、これを記憶するイベントなので、人工的なイベントではない。震災で神戸は甚大な被害を被ったが、ルミナリエはそこから得られた一種の財産なのだ。巨大な観光イベントにすぎないという評価もあるが、ルミナリエを捨ててしまえば、おそらくもう二度とこのような市民の思いから生じる自然発生性を帯びたイベントは現れないだろう。どこか浮き草のように定まらない神戸市民にとって、神戸市民として一体感を感じることができるイベントがルミナリエなのだ。したがって、ルミナリエは簡単に捨て去ってはならず、これからも大切に維持し、育て上げていかなければならない。