国道2号等 神戸三宮駅前空間の事業計画「中間とりまとめ」

 国道2号等神戸三宮駅前空間の整備について、国土交通省と神戸市は、昨年8月に新たな未来型の駅前空間の創出に関する整備方針をとりまとめ、民間事業者等の知見を広く取り入れながら、関係者とともに、事業計画の検討を進めてきたところです。
 このたび、集約型公共交通ターミナルの整備を含む事業計画の「中間とりまとめ」を策定しましたので、お知らせいたします。

(神戸市記者資料提供(令和元年8月30日))

 神戸市と国土交通省とが、国道2号線三宮駅前空間の整備について、整備を行う方針の中間とりまとめが公表された。その全文が、兵庫国道事務所HPに掲載されている。

兵庫国道事務所

 

1.1関⻄の交通拠点
神戸三宮の周辺には、新神戸駅神戸空港、クルーズ船寄港が近畿で1位の神戸港など、広域交通拠点が集積しており、アクセス性に優れています。加えて、大阪国際空港やアジアの玄関口である関西国際空港にも1時間程度でアクセス可能であり、関西の交通の要衝として機能しています。

 

1.2⾼速バス交通の要衝
近年、高速道路網の整備に伴って高速バス利用者が増加しています。そのような状況の中、神戸三宮は四国や淡路島方面を中心とする西日本へ向かう高速バスのゲートウェイとして機能しています。

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1.3交通結節点としての課題

神戸三宮駅前空間では、鉄道駅、中・長距離バス停、バス待合所が分散しているため、乗換え動線がわかりづらく、相互利用の利便性が低い 状況となっています。また、乗換え動線や周辺のまちへの歩行者動線上には、道幅が狭く、デッキの一部に段差があるため、車いすの方や荷物を持つ方が円滑に利 用できる環境とはなっていません。さらに、待合所が設置されていない中・長距離バス停が存在する、待合所が混雑しているなど、待合空間も不十分な状況です。

 

1.4まちや道路交通の課題

神戸三宮駅前空間では、阪神・淡路大震災からの復興を優先していたため機能更新が進んでおらず、周辺の民間施設の老朽化が進行しています。中・長距離バスが集中する交差点では、交通の集中に起因する渋滞、歩行者や自動車の混雑が発生しています。

 

 これらの現状を踏まえ、整備の基本コンセプトとして、4つの基本コンセプトと5つの整備方針を掲げ、次の5つの施設を次のゾーンに整備するとしている。

3.1ゾーニング

(1)魅力的な駅前空間を創出する三宮クロススクエア

 道路を人と公共交通優先の空間に転換する「三宮クロススクエア」 により、“ひと”中心の空間を地上に整備


(2)人の賑わいと回遊性を創出するデッキ

 三宮クロススクエアと再開発ビルが一体となった賑わい空間の 創出や神戸三宮駅前空間の回遊性を向上するためのデッキを 整備


(3)集約型公共交通ターミナル

 中・長距離バスや新たなモビリティなど、多様なモードを利用 しやすい新たな交通結節点を整備

 

(4)防災都市・神戸の駅前防災拠点

 三宮クロススクエアのオープンスペースに一時退避場所等を整備 •再開発ビルを代替輸送拠点、物資集積拠点等に活用

 

(5)回遊性を向上させるモビリティネットワーク

 道路や神戸三宮駅前空間の回遊性を向上させる新たな モビリティネットワークを構築

 そして、これらをまとめて、「国道2号等神⼾三宮駅前空間の将来の姿」として、次のイラストが掲載されている。

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 かなり詳細なイラストであり、「中間とりまとめ」としているが、おそらく、最終的な計画と、それほど大きく違うものではないであろう。

 ここから読み取れるのは、次のようなことである。

(1)新阪急三宮駅ビルと新JR三ノ宮駅ビルとはデッキを通じて結ばれる。さらに、新JR三ノ宮駅ビルの南から国道2号線に沿ってミント神戸の南側を経由し、新バスターミナルまで一直線のデッキが設置される。また、国道2号線もまたぐように複数のデッキが架設される。

(2)新JR三ノ宮駅ビルは、ポートライナー三宮駅の西側に隣接するような位置で建設がされる。

(3)新JR三ノ宮駅ビルとポートライナー三宮駅ミント神戸に囲まれた空間にロータリーが設置される。

 

 

 このイラストで見る限り、新JR三ノ宮駅ビルは、新阪急ビルやバスターミナル高層棟と比べても、それほど大規模なビルではないように見え、むしろ、ミント神戸とあまり違わない規模のようにも見える。さらに、内部に阪急三宮駅や市営地下鉄三宮駅などの連絡通路らしきものも見られ、ビルの利用にかなり大きな制約が課せられることになるのではないだろうか。このあたりが、新JR三ノ宮駅ビルの計画がなかなか発表に到らない事情と関係があるのかもしれない。