企業の本店、支店の数に見る神戸の姿(3)

 しかし、それは大きな間違いであった。それらの施策は、神戸市が本当に取り組むべき課題に対する答ではなかったのだ。この間の推移は、国内の企業が全国管理体制を確立する過程で、神戸市はその全国管理体制から脱落をしつつあったのである。

 そして、震災に直面した神戸市は、世界有数のコンテナターミナルとしての地位も失い、特別な都市ではなくなり、今日を迎えている。そして、国内の管理体制から外れてしまっている本当の姿を目の当たりにすることになったのだ。

 神戸市が、この企業の国内管理体制に組み込まれていれば、大きな産業はなくても、支店経済として、それなりの地位を保持することができるだろう。しかし、現実には、神戸市は、国内管理体制から外れていると言わざるを得ない。

 これに対して、神戸市はどうするべきなのだろうか。歩きやすい街や、茅葺き民家が近くにある都市としてPRすることなのだろうか。それは、現在の傾向を強化することはあっても、解決にはまったく寄与しないのではないか。

 神戸市がやるべきことは、神戸の中心市街地の全国にも稀な交通利便性を活かして、企業の本店や支店などの管理機能を再度集積させることだ。いったん、このような序列ができてしまったところを逆転することはきわめて難しい。しかし、少しずつでも、やっていかざるを得ない。神戸の交通利便性をもってすれば、神戸を選択する企業はあると考える。それが、ある程度に集積すれば、それが神戸市の拠点性を高め、さらなる集積を呼ぶ可能性はあると考える。