日経グローカル(No.249 2014. 8.4)に、久元市長のインタビュー記事が掲載されている。
インタビューは今から5年前、久元市長が市長に就任してから半年たった2014年前半のもので、今後どのような都市計画を推進していくのか、人口減少社会に突入した神戸が目指すべき都市の将来像について日経グローカル誌が聞いたものだ。
久元市長は、冒頭で「神戸市は今後の人口減少を受け入れなければならない。」、今後、神戸市でも「空き家やシャッター商店街、管理費用の捻出が難しい公共施設も増える。」とした上で、次のように述べている。
ただ、生活面での魅力を発信すれば、将来は定住人口を増やせる可能性は十分にある。そのために市内の各区が抱える細かな課題に応じ、土地や不動産、交通網や商店街といった既存資産の有効活用を進める。(略)空き家の有効活用とは、リフォームや耐震性能診断など支援策を拡充させる計画のことだ。(略)少子高齢化などに伴う将来の人口減少を見据え、住宅政策の軸足を新築の促進から既存物件の有効活用に移していく。(略)中古住宅の流通促進などの対策を通じ、空き家増加に歯止めをかける。
これに対するコメントを述べる。
久元市長の言うところを要約すると、人口減少社会の到来により、神戸市の人口減少は避けられないが、その対策として、新築住宅の建築を抑制し、空き家の有効活用を図って空き家の増加に歯止めをかけて都市環境を維持しつつ、神戸市の生活面の魅力を発信することにより、将来的には定住人口の増加が可能であるという主張のようだ。
新築住宅を抑制し空き家の有効活用を図るというのは供給サイドの話であるから、需要サイドの話は神戸市の生活面の魅力を発信するというだけにすぎない。
しかし、実際にその後に行われた施策はこの主張に沿ったものだった。これをみると、神戸市が人口減少に陥り、日本人住民の減少数が日本一になったのは偶然ではなく、必然だったというべきだろう。