神戸市制130周年 久元市長が示す都市ビジョン

 神戸市政130年記念式典が行われ、神戸経済ニュースが久元市長のインタビューを行った。

神戸市制130周年 久元市長に聞く(2)「交通の要衝として優位性を回復」 - 神戸経済ニュース

 「神戸の弱み」は何かという質問に対して、現在の神戸の弱みは、「人や物の流れが、港から空港に移ったということの結果」だと述べている。その背景を、「韓国、中国、香港、シンガポールなどが、国家主導による集中投資に舵を切った1990年代、日本の政府は国土の均衡ある発展の名の下に地方港湾の整備を重視して、投資を分散させていた」と説明している。

 今後、「弱み」をどう克服するのかという質問に対して、まず第1に、「神戸の強み」をどう高めるかという点を挙げ、独占的な地位は失われたが、現在でも日本の中で重要な港湾である神戸港、私鉄を中心とする鉄道や公共交通網の充実により、今も神戸が交通の要衝であることは変わりないと指摘している。

 その上で、「陸、海、空の交通の要衝としての神戸のポテンシャルを飛躍的に向上させることが神戸の弱みを克服するための最も大事な要素」と述べている。そのため、国際コンテナ戦略港湾の推進、神戸空港の利活用の拡大、大阪湾岸道路西伸部の建設、神戸西バイパスの整備などを挙げ、「陸、海、空の交通の要衝として優位性を回復させるというのが答え」であると述べている。

 さらに、三宮を広域交通と域内交通の両面を結びつける結節点として再整備し、神戸空港大阪湾岸道路と、新たに建設する西日本最大のバスターミナルとを結び、国内有数の充実した域内交通である鉄道に結びつけるとしている。

 三宮の整備にも触れ、「神戸を大阪のベッドタウンにしない」という目的の下、交通の要衝の機能を活かし、バスターミナルにオフィスと商業施設を新たに供給し、それを起爆剤として商業・業務機能の集積を強化し、神戸が経済都市として成長を続けるためのインフラを提供するとしている。神戸を「居住都市」だけにはせず、大都市として成長をめざそうというビジョンだと語っている。

 

 久元市長が市長就任後、ここまで神戸市の将来ビジョンを明確に述べたものは目にしたことがない。全面的に賛成する。

 

 ここで、足りないものを数点加えたい。

 一つは、神戸空港新神戸駅のアクセス線の建設だ。三宮は、神戸空港との結節点でもあるし、新神戸駅との結節点でもある。つまり、2ウェイアクセスが確保されている日本有数の交通拠点である。現在は、三宮という一つの「点」だけが、この条件を満たしているが、神戸空港新神戸駅を一つの路線で結べば、この「点」が「線」に変わる。この線上では、2ウェイアクセスが満たされることになる。三宮には開発余地はあまりないが、これが線上になれば、広大な未開発の土地を得ることになる。だから、資金はかかるだろうが、それを補ってあまりある便益が得られるので是非実現をすべきだ。

 二つ目は、神戸空港新神戸駅とのアクセス線上に、集客施設を集積させることだ。大規模なスポーツ競技やコンサートが可能なドーム球場や大規模な展示場を併設したコンベンションセンター、その他の集客施設をこの沿線上に集積をすることだ。もし、これが実現するなら、交通の利便性において、他の都市を圧倒するだろう。

 三つ目は、これらの構想を、強力な交通機能のもと、オフィスビル集客施設が集積する将来の姿を、わかりやすいイメージ図として全国に発信すべきだ。「交通の要衝の強化」の先に、どのような都市の将来像を描いているのかを内外に明確に示すことだ。茅葺き屋根や農村部、下町を神戸とするのではなく、先進都市、他のどの都市よりもコンパクトで機能的な姿を神戸の将来像とすべきだ。かつてそうであったように、日本の中心都市として再生させる。そして、神戸市民はもとより、このビジョンに賛同する人々や企業の力を取り入れながら、新しい神戸を建設すべきだ。