神戸市の眺望規制について

 神戸は、六甲山系の山並み、海や港と市街地が一体となった景観や、西北神地域の豊かな自然と田園集落の景観など、変化に富んだすばらしい眺望景観に恵まれており、これらは神戸のまちの魅力の重要な要素となっています。
 神戸市では、優れた眺望景観を次世代へ引き継いでいくため、平成20年2月に市民公募により「神戸らしい眺望景観50選.10選」を選定し、これまでに都心部の2地区(ポーアイしおさい公園、元町1丁目交差点)と須磨海浜公園からの眺望景観を保全するための規制・誘導施策を実施しています。
 このたび、「神戸らしい眺望景観50選.10選」の中でも、都心部や海への距離が近く、市街地の広い範囲を見渡すことができる「ヴィーナステラス」からの眺望景観を保全するため、建築物等の高さや形態意匠、屋外広告物に関する誘導基準案を策定しました。
 この誘導基準案について、皆様のご意見を募集します。

(神戸市記者資料提供(令和元年6月17日))

 

 建築物に対する規制はそもそもが憲法で保障する財産権の制約にあたるので、慎重に行うべきだ。何かの目的で規制を行う場合は、規制を行うことによって得られる価値と比較考量されなければならない。

 ヴィーナステラスからの眺望景観の保全という目的が、はたしてそれだけの価値があるものだろうか。たとえば、その眺望が現状として大きな観光スポットになっており、大きな利益をもたらしているということであれば理解もできる。その景観が価値があり、他に代わるものがないという理解が既に広く定着しており、それを保全しようとするのであれば理解しやすいが、今回の場合はそうした実態にはない。単に山の稜線、水平線の景観を守りたいなら、六甲山系についていえば、視点を変えれば容易に手に入る。「神戸らしい眺望景観50選」とあるのがその証拠だ。

 京都のような歴史的な都市が高さ規制を行うのは、広く理解が得られているが、神戸の場合はそうではない。むしろ、そうした規制や慣習を嫌って先進的なものを受け入れる場となってきた歴史がある。その神戸の特質を損なう規制は、いったい誰のための規制なのか甚だ疑問がある。

 何キロも彼方から、お前の建物は、ここから見える水平線を遮るので建設を許さない、というのは、かなり乱暴な話ではないだろうか。