神戸空港規制緩和 兵庫県知事、神戸市長会見

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1 神戸市長会見(2019.5.16)

 神戸市長は、5月16日の定例記者会見の中で、神戸空港規制緩和合意の内容について、次のように述べた。

(1)規制緩和の内容について

 今回の規制緩和の内容については、

① 発着回数については60回を80回に、運行時間については午後10時から午後11時まで延長

② 2025年ごろを目途に国際化を行う。国際化の検討の中には定期便も排除されていない

 の2点であるとし、今後、神戸空港の利活用がさらに図られるように、空港の設置者である神戸市としても全力で取り組んでいきたい、と述べた。

(2)神戸として今着手できること

 空港ターミナルの充実について、発着便数の拡大と運行時間の延長は、現在のターミナルでも対応できるとし、国際化については、状況の把握をしっかりと行って、関西エアポートと相談しながら、必要な対応を行っていきたいと述べた。

(3)アクセスの問題

 当面は、バスの運行が現実的とし、その理由として、ポートライナーが混雑している時間帯が特定の時間帯(朝の8時台)にすぎないことを挙げている。

 神戸空港と三宮、新神戸駅の間のアクセス向上については、ポートライナーの延伸は技術的・採算的に極めて難しいため、港島トンネルを新神戸方向に延伸することができるのかできないかということをできるだけ早急に検討したいと述べた。

 

2 兵庫県知事会見(2019.5.20)

 兵庫県知事は5月20日の定例記者会見で、神戸空港規制緩和合意について答えた。今回の合意は、国内線の便数拡大、運行時間の延長とともに、今後国際化を段階的に行う含意であるという理解を示した。神戸空港の国際化に向けてのターミナルの拡充・新ターミナルの増設の必要性についてという質問に対して、議論は時期尚早であると断りつつも、CIQ体制、ゲート数の拡大を課題に挙げ、積極的に対応していくべきとの見解を示した。さらに、第2滑走路の検討は10年ぐらいの間に議論する可能性はないわけではないとの期待も示した。

 

3 上記に対するコメント

 今回の合意で、国際化が先送りされたのは、滑走路の問題ではなく、ターミナルやアクセスが不十分であるとの理由なのだから、国際化を実現するのであれば、ターミナルとアクセスの改善をする以外の選択肢はないだろう。むしろ、今回の合意は当然予想されていたことなのに、どうして、神戸市はあらかじめ検討をしていないのだろうかと不思議に思う。

 空港のアクセス改善についても、ポートライナーは混雑をしていない時間帯があることを理由に、バスの運行で対応すると述べていることには驚く。それが理由ならば、今後、空港アクセスの輸送力増強が行われることはないだろう。久元市長は検討を表明するが、いつまで検討するのだろう。必要なのは検討ではなく、「結論を出すこと」ではないのだろうか。神戸空港を開港する際にはポートライナーを延伸しているが、これも、単線部分を複線化し、橋を架け、海を超えて延伸をしたのだから、相当の難事業で、多額の費用を要したと思われる。しかし、インフラの投資は、利用可能な資源を増大させ、都市の可能性を拡大する効果がある。ポートアイランド2期に、あれだけの企業や施設を誘致できたことは、ポートライナーの延伸なくして不可能であったであろう。基本的に、技術的な不可能はないので、空港アクセスの輸送力増強は将来を見通す展望力、構想力と意思決定能力の問題だろう。そもそも、神戸空港の建設自体が巨大な先行投資なのだから、ここで少額の費用をためらってはいけない。もう犀は投げられているのだ。

 これに対して、兵庫県知事は、ターミナルの拡充・新ターミナルの増設について積極的に対応すべきと述べると同時に、第2滑走路にまで言及している点が、将来への展望力、構想力の点で神戸市長と資質に大きな差があると感じる。