神戸空港規制緩和合意

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 関西、大阪(伊丹)、神戸空港の役割を官民で決める「関西3空港懇談会」(座長=松本正義関西経済連合会会長)が11日、大阪市内で開かれ、神戸空港の運用時間と発着枠の規制を段階的に緩和することで合意した。当面、夜間の運用を現行の午後10時から11時まで1時間延長し、1日の発着回数の上限を60回から80回に引き上げる。国土交通省は航空会社の意向を踏まえて早期の実現を図る。

 国内線に限定されている規制の緩和に関しては、2025年ごろまでの中期の取り組みに位置付けた。同日、取りまとめた文書に「国際化を含む空港機能のあり方の検討」と明記した。

 今後、年1回のペースで会合を開くことも決めた。運用時間、発着枠の一層の緩和と国際化は、次回以降の会合で議論する。(2019/5/12 神戸新聞NEXT)

 

 神戸空港規制緩和が実現することが確定した。建設時はもとより、開港後、猛烈な逆風にさらされ続けた神戸空港にとって、画期的な合意となった。

 今回の3空港懇の合意をどのように評価すべきだろうか。3空港懇の座長を務めた松本関経連会長のインタビュー(神戸経済ニュース)から考えてみる。

 まず、同会長は、「規制緩和の第一歩ということで、ブレークスルー(突破)したということ」と述べている。今回の規制緩和は全員一致での合意とのことである。井戸知事が120便を主張していたことについては、「変化があったら、また関西3空港懇談会を開いて対応しましょう」ということで決着した。国際化について、滑走路の問題ではなくて、インフラを国際空港並みにグレードアップする必要がある。連絡橋も狭いし、アクセスも問題だとも指摘している。神戸の国際線検討は単なる検討に終わるのかという質問に対して、「単なる検討だけで、こんなところには書けない。ちゃんとやってくださいよ、ということだ。」と述べ、「国際線をやる気持ちがあるのなら、それなりの対応をしてもらわないと。(略)やるんだったら覚悟決めてやってくださいよ、と。2025年までなら、われわれも検討しますよと言っている」とのことである。

 これを見る限り、今回の合意は、まさにブレークスルーであって、今後、加速度的に、神戸空港の国際化も含めた規制緩和が進んでいくことになるだろう。

 そう考える理由は、次のとおりである。

① 今後、アジア圏の経済的一体化が進むことが予想され、アジア圏の巨大な人口を背景に、人的交流が爆発的に増加すると予想され、航空需要はまだまだ拡大すると考えられること。アジアの主要都市でも、空港の能力拡大を急ピッチで進めている。

② 今回の緩和は、単に大阪政財界の意向ではなく、おそらく関西エアポートの意向を反映しており、さらに国家的な意向の反映と思われること。

 今回の規制緩和は20便とは言え、現行より33%の増便となり、ユーザーが確実に増加する。ユーザーの意向の影響力もより強まり、もう押しとどめることはできないだろう。

 今後、神戸空港は、旅客数が飛躍的に増大し、将来的には1000万人、場合によっては2000万人に向けて増加し、「第2関西国際空港」としての性格を強めていくことになるだろう。そして、遠い将来には、関西圏で新滑走路の建設を考える時期がくるだろう。その際、埋め立て地盤、アクセスの問題から、再び神戸沖が有力な候補とされる日がくるだろう。そうした未来も見据えて、周辺のインフラ、神戸市の都心の将来像を構想しなければならない。

 ともあれ、今後、神戸市は、同会長の言うように、国際線受け入れに対応するターミナルのグレードアップと輸送力の増強を急がなければならない。同会長は2025年までなら検討すると言っている。この機会を逃してはならない。速やかに対応すべきである。