久元市長5周年インタビュー

 就任5周年を前に、神戸新聞のインタビューが行われた。

「美しいまちにしていく」久元神戸市長就任5年インタビュー(抜粋)(2018/11/20 06:12神戸新聞NEXT)

 

-就任から5年を振り返って。

 「私が市長になってから神戸の街が大きく変わったり、行政サービスが大きく向上したりしたわけでもない。十分な実績が残せていないことを大変申し訳なく思う。(略)」

 -人口減対策が課題だ。

 「大阪湾岸道路西伸部や神戸空港の利活用、都心・三宮の再整備、郊外を含む駅前再開発など、インフラの再整備とまちづくりを積極的に行うことで、街を活性化させていく」

  「人口を増やすこと自体を目標にしない。都市の規模よりも生活の質や都市の価値を高めることに視点を置いた政策を展開する。(そのことが)人口減少を食い止める手段となり、優れた人材が集まることにつながる」

 -「都市の価値」を高めるには。

 「山と海がある美しい自然や、震災後に助け合った市民の温かみを大切にしたい。神戸には、未知のものを取り入れ、新たな価値を創造していく市民性もある。今のグローバル社会で、新たなビジネス展開などで、世界に羽ばたく人材を育てることが神戸のブランドの一つになる」

  「例えば、文教面でのステータス。全国学力テストの結果を見ると、小学校は下位、中学校は上位のグループという傾向が続く。小学校に問題があるということだ。市教委は早急にガバナンスの立て直しを図り、死に物狂いで学力向上に取り組まねばならない」

 

 

 久元市長の述べるところを要約すると次のとおりだ。

 人口減対策については、神戸の生活の質、都市の価値を高めることが人口減少を食い止める手段となる。都市の価値を高めるためには、美しい自然、市民の温かみを大切にし、世界に羽ばたく人材育成が神戸のブランドを高める。具体例として、全国学力テストの結果が中学校は上位であるにもかかわらず、小学校が下位であることは問題であり、市教委のガバナンス立て直しを図る。

 

 これに対して、次のとおり考える。

  神戸市の人口が低迷しているのは、神戸の生活の質、都市の価値の問題なのだろうか。それを向上させることは必要なことだが、問題点として捉えると、どうも、犯人捜し的な後ろ向きの印象を帯びてしまう。もっと前向きな考え方で物事をとらえるべきだ。

 市教委のガバナンス立て直しを図るとしているが、全国学力テストで小学校の順位が下位であることは問題なのだろうか。中学校では上位になるなら、小学校の教育もあながち失敗しているということではないようにも思う。そもそも、小学校、中学校の評価を全国学力テストだけで判断し、教育委員会のガバナンスを問題にするのは、教育に対する価値判断が偏っているのではないか。

 

 人口が減少している状況を客観的に分析し、原因に即した対策を打つべきだ。原因でないところに原因を求めてはいけない。議論が拡散するばかりで、結果が得られることはない。