神戸空港の輸送力増強

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 ポートライナーの混雑が著しく、神戸空港の増便のボトルネックになるのではないかという議論がある。その解決策を考えてみる。

 現在、神戸空港に起因するポートライナーによる需要は、神戸空港が年間約300万人とすると、1日当たりで計算すると約0.8万人である。ポートライナーの年間乗客数は2679万人(H28)とすると一日あたり約7.3万人となり、神戸空港の利用者の占める割合は1割程度であり、ポートライナーの混雑の主要因は神戸空港ではないことがわかる。

解決策は、ポートアイランド神戸空港のアクセスを分離することだ。つまり、大部分の需要が発生している三宮からポートアイランド間に高速鉄道を敷設し、ポートライナーは空港専用のアクセスに特化させることだ。具体的には、三宮からポートアイランド南までの間で高速鉄道を敷設する。三宮からポートアイランド南までは約5キロであり、神戸空港まで延伸することに比べて大幅に建設費が削減できる。ポートライナーは空港のアクセス線と考えれば、8両化は当面不要である。そして、ポートライナーの停車駅を大幅に削減して高速化を図ることである。そして、8両化にかかるといわれる数百億円を、三宮から新神戸に延伸をするのに充てる。 つまりポートライナー新神戸~三宮~神戸空港の広域交通機関専用のアクセス、三宮からポートアイランドまでの高速鉄道ポートアイランドへのローカル交通機関という役割分担である

 このようにすると、輸送力が格段に増加して混雑が解消するだけではなく、新神戸から神戸空港の間は、新幹線と航空機の長距離交通機関からのアクセスが確保できるという得がたいメリットが得られる。その利便性を生かして、このエリアにコンサート会場やコンベンション施設、テーマパーク等の大規模集客施設を集中立地させて神戸経済発展のエンジンとする。

 このようなプランの実現性はあるだろうか。単純な試算を行ってみる。市営地下鉄の山手線は、総乗車人員(日) 261,000人(H28)、路線延長22.7キロで、1キロあたり乗客数は11,497人/キロとなる。同様に、海岸線は、総乗車人員(日)45,000人(H28)、路線延長7.9キロで、1キロあたり乗客数は5,696人/キロと、山手線の49.5%の水準である。

一方、ポートライナー(本線)は、総乗車人員(日)73,000人(H28)、路線延長 8.2㎞で、1キロあたり乗客数は8,902人/キロとなり、山手線の77.4%の水準である。しかし、利用客数の大部分を占めると考えられる三宮~京コンピュータ前の路線延長は5.4㎞であり、これで総乗車人員(日)を割ると、13,518人/キロとなり、山手線の117.5%の水準である。ポートライナーの混雑度が裏付けられる形である。これだけの利用客数があるのであれば、高速鉄道に見合うのではないだろうか。

今後、神戸空港の利用客数は、何倍にも増加していくので、ポートライナーはもっぱらその交通機関としての役割を果たすことになる。