関西3空港問題の本質

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 堺市の竹山市長が、「関西3空港懇談会」の再開に関して、「神戸、大阪国際(伊丹)空港の国際化を議論するのは時期尚早」と述べた、と報道されている。

 「私は今回の懇談会は神戸の国際化をメインに議論する場ではないというふうに思っています。まさに関空はまだ2期を作って余力がございます。関空はやはりしっかりとこれからも国際線の拠点空港としての位置づけの中で、海外からの便を受け入れるということをやっていきたい。なぜならば、9市4町は関空ができてまだ経済効果を享受してないんです。地域整備は進みましたけど、空港と共存共栄するというのはまだ道半ばです。そういう意味でしっかりと9市4町の仲間とこの問題については、はら合わせしながら懇談会に臨んでいきたいなというふうに思っております。」(堺市長定例記者会見 平成30年10月17日)

 ここに関西3空港問題の本質が見いだせる。

 堺市長のような関西圏の航空機の利用を関西空港1か所に集約すべきだという考え方を「関空独占派」と呼ぶとすると、関空独占派は、関西空港を地元が「経済効果を享受」するためのものだと考えている。大阪南部が経済効果を享受するために、関西圏の人々の利便性とは関わりなく関西空港を利用させるべきだと考えている。神戸、大阪国際(伊丹)空港の国際化は、大阪南部が経済効果を享受できるまで時期尚早と言っている。これは利用客や航空会社等のユーザーの視点ではない。関空独占派の本心は、経済効果の独占ということに尽き、それ故、今だに昭和40年代当時の定かならぬ「歴史的経緯」を振りかざしている。

 高速交通とは言えない船舶でも大阪と神戸でユーザーが分かれている。高速交通である航空機の利用を、関西圏は、大阪南部が経済効果を享受できるまで、大阪南部の関西空港の1か所に制約すべきだというのは不合理だ。

 関西空港は、国土軸から南に大きく外れた立地条件にある。そのため、本来、「西日本」の国際空港であるべきところが、「関西地方」の国際空港にしかなれていない。西日本全域からの航空需要を取りこぼしている。巨大な人口を有し経済発展が著しいアジア圏からの今後の航空需要を考えると、関西圏の航空機の受け入れ能力を拡充し、利便性を高めることは極めて重要な課題だ。今、各圏域は航空需要の獲得にしのぎを削っている。アジア圏の経済発展を取り込み、関西圏が再び日本のセンターを目指すなら、3空港の役割見直し、規制緩和は不可欠だ。