「神戸らしさ」とは

 神戸らしさとは、異人館、ハイカラ、ジャズ等が決まり文句となっているが、それらは神戸の歴史の一側面であるとしても、永久不変のものなのだろうか。今日、ポートタワー、海洋博物館は神戸を代表する景観と認められているが、異人館とは何の関係もないデザインだ。しかし、これらが今や神戸を代表する建築物であることに異議をとなえる人はいないだろう。

 神戸の地形、自然、気候、風土の条件下で美しく感じられるものこそが神戸らしさなのだと思う。異人館は、当時の建築技術の下でこそ美しいのであって、現代に異人館を模しても滑稽なだけだ。

 どうしてわざわざ、狭いイメージ(殻)に神戸を押し込めようとしたがるのか常々不思議に思っている。街は生きたものだ。過去の特定のイメージにこだわっていては街が死んでしまう。