
2年ぶりにルミナリエを訪れた。
会場は、ホームページ等をみると、東遊園地、旧外国人居留地、メリケンパークの3か所が表示されている。その他にも、街のところどころに小さなモニュメントが設置されており、会場マップには、メイン会場3か所と合わせて11か所のポイントが示されている。
従来のルミナリエは、旧外国人居留地から東遊園地までの局所的な会場設定であり、元町駅方面から京町筋、明石町と、鉄柵に囲われた誘導路にそって九十九折(つづらおり)の長蛇の列を遅々と進んで、ようやく会場に入ることができるという状態であった。しかし、今回は、メリケンパークにも会場が設けられて広域化したため、来場者が分散し、従来のような行列はすっかり解消されていた。
筆者は、神戸駅から地下街を抜け、ハーバーランドからメリケンパークに行くことにした。モザイクの通路を抜けてデッキに出ると対岸にメリケンパークが見える。そこには、燦然と輝く宮殿のようなルミナリエの作品が目に飛び込んできた。会場をメリケンパークに移すことによって、作品が様々なロケーションでの姿を見ることができるようになったのだ。ハーバーランドから海沿いの舗道を歩いてメリケンパークに入ると、大勢の観客が訪れていたが、さすがにメリケンパークは広く、人々が密集することなく、適度の間隔が保たれて、混雑に妨げられることなく自由に園内を通行することができた。
会場には有料エリアが設けられ、その中に作品が構築され、周囲には一定の障壁が設けられ、進入が制限されてはいたが、有料エリアに入らずとも、十分に作品を見ることができる状態であった。それだけ作品が大きかったということでもある。今年は「海を望む宮殿」と題された作品であったが、一言で言うと大変すばらしい出来栄えであった。一昨年に見たときよりも、広さ、高さともかなり規模が大きくなり、またデザインは精緻かつ一層複雑となり、まさに天上の建築物のごとき壮麗さであった。BGMには、荘厳な教会音楽風の音楽が流され、非常に厳かな雰囲気が満ちていた。ルミナリエが始まった頃は、馬蹄形のフレームを幾十にも並べ、一方向からトンネル状に見る形式の作品であったが、今回の作品はその題名にもあるとおり、屋根、壁とに囲まれた建物様のデザインとなっており、様々な方向からその姿を鑑賞することができるものであった。

次に、居留地の街路を抜け東遊園地の会場に入った。東遊園地の作品は「聖なるアプシス」と題され、一昨年に見た単なる壁掛け状の形式のものから、半円形のドームを組み込んだ立体的な形式に変化していた。一昨年の会場分散の際に、東遊園地の作品は、大幅な規模縮小となったが、今回の作品は、再び規模が拡張され、会場分散前のメイン会場に劣らない規模と構成であった。

東遊園地には、神戸地元の企業や飲食店が出店し、飲食料品の提供を行っていた。以前あった、縁日の屋台のような出店がなく、この点も神戸らしくてよかった。
一方、新たに開けた新港突堤方面の会場は、アリーナでのイベントがなかったせいか、閑散として寂しい状況であった。しかし、ここからも、メリケンパークの会場を海を挟んで見ることができ、もっと人が集まってもよいのではないかと思った。次回以後、できれば、メイン会場を、東遊園地、メリケンパークに加えて、新港突堤にも設置して、大規模な作品を展示すると、三角形状の会場配置になり、まさに街全体がルミナリエの会場となって人々が行き交うことになるのではないか。
今回のルミナリエの全体の印象を述べると、まず、作品については、規模が再び大型化し、大きな会場で見劣りがしなくなったこと、作品の精緻化、複雑化が一層進み、大変美しく、見ごたえのあるものであったことが挙げられる。過去の作品と比べても最も美しい作品であったように思う。
また、従来の長蛇の行列が解消され、観客が自由に順番や順路を選ぶことができるようになり、圧倒的にストレスが少なくなったと感じた。会場は混雑しているというほどはなく、安心してゆったりと回れる印象だ。
会場に来場する人は、三ノ宮駅方面からが圧倒的に多いように思われるが、もっと神戸駅や元町駅からのアクセスルートを周知してアクセス路の分散を図れば、より混雑が少なく、快適なのではないか。特に、神戸駅からは地下道を通ると、ほぼ信号のないルートであり、安全で高齢者や小さな子供にも利用しやすいのではないだろうか。それほどの距離でもないので、もっとお年寄りにも見に来てもらえたらよいように思う。気のせいか、会場に高齢者が少ないような気がした。ルミナリエの広告や前売り券の販売など、ネットが多用されており、それらが高齢者の足を遠のかせていないだろうか。ルミナリエ開催の趣旨から、だれもが参加しやすいということは重要だ。
ルミナリエは今回が第31回の開催となり、いつのまにか長い歴史を持つイベントとなった。開催を重ねるごとに、当初の単純なデザインから、作品の規模、意匠とも複雑さ、精緻さが高まり、ルミナリエは、本当に神戸らしい、上品で上質な芸術祭としての完成度を備えるようになったように思われた。これだけの規模と質を兼ね備えたイベントであれば、きっと国際的にも十分アピールできるのではないだろうか。
混雑の問題は、かなりの部分、解消したと思われるが、アクセスルートを中心に、警備員が数多く配置されている。正直、あれほど多くは必要ないのではないかとも感じられたので配置の見直しも必要であろう。さらに、来場者の導線を工夫すれば、混雑なく、もっと大勢の人受け入れられるのではないかと思われる。そうなれば、もっと積極的に広報を行って、来場者を増やし、街全体を舞台とする、神戸市民はもとより、国内、海外の観光客が集まって楽しむイベントになるのではないか。
現在は1月30日から2月8日までの10日間の会期であるが、以前のような街を塞ぐような混雑もないので、もっと期間を延長し、1か月くらいは開催すればよいのではないか。






