消防艇による定期歓迎放水 / GlobalRainbow @kobe2020

 世界中が新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年は、神戸にとっても明るい話題の少ない1年であった。しかし、そうした中で次のような取り組みが行われた。

 

 消防艇が定期歓迎放水でおもてなし  

 ~神戸を訪れるすべての人に元気を!明るさを!~

 

 神戸を訪れるすべての人へ、“コロナに負けるな!”“頑張ろう神戸!”などのメッセージを込めて、消防艇による歓迎放水を定期実施します。

 これまでは外国客船が神戸港に入港・出港する際に、乗船客に対して歓送迎の放水をしていましたが、新型コロナウイルスの影響で低迷する市内の観光振興策のひとつとして行います。

 

1.放水の概要

 メリケンパーク内のBEKOBEモニュメント南側海上にて、15時から約15分間のカラー放水を行います。見応えのある放水で皆様を元気づけます。

 

2.期間

 令和2年8月21日以降の毎週金曜日、令和2年12月25日までの間(計19回)

(以下略)

 

(神戸市記者資料提供 2020/8/14)

 

神戸市:消防艇が定期歓迎放水でおもてなし

 


毎週金曜日に消防艇が歓迎放水(神戸経済ニュース)

 

 神戸市の水上消防署が、新型コロナウイルスの影響で低迷する市内の観光振興策のひとつとして実施をしたとのことだ。最終日には、夜間の放水も行ったようだ。夜間の放水はライトアップされて、幻想的でとても美しい。

 


消防艇の定期歓迎放水に夜のサプライズ(神戸経済ニュース)

 

 今回の取り組みは「新型コロナウイルス下での観光振興」を目的に挙げているが、今後も新型コロナウイルスとは関係なく、神戸の観光施策の一つとして実施すればよいと思う。

 

 

 当ブログでは、兼ねてより、神戸港一帯に観光施設を集約し、テーマパークのような場所にしてはどうかと提案している。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

 神戸港は神戸の有力な観光資源であるが、もっと有効に活用すべきだと思う。神戸港の眺めは開放的ですばらしいものであるが、実際に訪ねてみると船の出入りが頻繁にあるわけでもなく、案外、動きのない静的な風景で、残念ながら今ひとつ見所に欠けるように思う。この静的な風景に動きを与えるものとして、消防艇による放水はちょうどよいアクセントになるだろう。これまでもクルーズ船の入港時などに消防艇の歓迎放水が行われていたが、歓迎を受けるクルーズ船からはともかく、陸上からでは距離が離れすぎていてその迫力を十分に感じることができなかった。しかし、メリケンパークの目の前であれば、多くの人がその迫力を十分に感じることができるだろう。

 消防艇は大型港湾ならではのものであり、定期的に実施すれば、港町神戸の名物になりうるものだろう。

 

 

 また、次のようなイベントも行われた。

 

  アジア初!神戸の夜空にレーザーアートが出現します

ーGlobalRainbow @kobe2020ー

 

趣旨

 一般財団法人神戸観光局は、神戸港ウォーターフロントエリアのさらなる魅力向上の取り組みとして、ニューヨーク/ベルリンを拠点として活躍する女性ビジュアルアーティストYvette Mattrn(イヴェット・マターン)氏により独自開発された7色のハイパワーレーザーを使用した巨大なパブリックレーザーアート「GlobalRainbow(グローバルレインボー)」を神戸港内から六甲山系に向けて出現させます。

 本作品は、これまでにアメリカ(ニューヨーク、ピッツバーグ、ニューヘイブン)、イギリス(ロンドン)、ドイツ(ベルリン)、スウェーデン(スモーゲン)など、世界の主要都市で展示されていますが、美しい神戸の港が本作品のイメージと重なり、アジア初の展示に至りました。

 

実施概要

 本事業は、中突堤メリケンパーク等を中心に、広域および夜間なら期間中いつでも鑑賞できるスケールの大きな広域アート作品とすることで、観客が一か所に集中しない、公共交通機関が混雑しないなど、withコロナ時代の「新しい生活様式」を意識した観光施設・観光商品等のケーススタディとして、観光庁の「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」における実証事業(1次募集)に採択され、「あたらしいツーリズム」の一環で実施しています。

 ■名  称:GlobalRainbow @kobe2020

 ■展示期間:令和2年12月4日(金曜)~12月13日(日曜)

 ■照射時間:日没後~21時

 ■主催団体:一般財団法人神戸観光局、神戸市港湾局

 ■協  力:神戸学院大学神戸港“U”パークマネジメント共同事業体、メリケンパーク協議会、阪神高速道路株式会社、兵庫森林管理署

 ■WEB:https://globalrainbow-kobe.jp(外部リンク)

(神戸市記者資料提供 2020/11/24)

神戸市:- GlobalRainbow @Kobe 2020 -

 


KOBEレーザーアート

 

 神戸港内から六甲山系に照射されたというから、海と山が近接する神戸の地理を活かしたイベントといえるだろう。これまでにも、ニューヨーク、ロンドン、ベルリンなど世界の主要都市で開催され、アジアで初の都市として神戸が選ばれたとのことだ。今回は、新型コロナウイルス禍の中であったから、多くの人がこれを見に訪れることが難しかったとは思うが、こうした先進的な取り組みが行われたことは評価できる。

 こうしたイベントが実施できるのは、都心の中心部に神戸港という大空間を擁する神戸ならではだ。これを一過性のものとせず、できれば継続的に実施してほしい。

 

新型コロナウイルス禍の下での関西3空港の状況(5)

 関西エアポートが11月の関西3空港の運航状況を発表した。

 

 

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          旅客数   国内線発着回数

 伊丹空港     △38%   △22%

 関西空港     △48%   △32%

 神戸空港     △38%   △12%

 

 

 国内線について、伊丹空港神戸空港が旅客数でともに△38%であるのに対して、関西空港は△48%と回復が遅れている。発着回数を見ても、伊丹空港△22%、神戸空港△12%に対して、関西空港は△32%と回復が遅れている。これは、一つには関西空港の主力である国際線が前年比△99%が続いており、国内線についてだけでいうと、都心に近接する伊丹空港神戸空港の方が便利であり、加えて大手航空会社の路線の集約の方針が関西空港に対して不利に働いていると考えられる。こうした傾向は当分続くだろう。

 下のグラフは3空港の毎月の旅客数の比率を表したものである。

 

  (旅客数の比率  伊丹空港関西空港関西空港神戸空港

 

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 このグラフを見ると、伊丹空港関西空港の比率(オレンジ色)は1月の2.33から3.10に上がっており、これは伊丹空港関西空港に対する優位が強まっていることを表している。また、関西空港神戸空港の比率(青色)は1月の1.97から1.58に低下している。これは、関西空港神戸空港に対する優位が弱まっていることを表している。この結果は、関西空港の回復が伊丹空港神戸空港に対して相対的に遅れているという上記の観察と一致する。

 

 全般的にはかなり旅客数が回復してきており、神戸空港でもスカイマークが12月に全便復元の話もあったが、新型コロナウイルスの感染再拡大により航空需要の抑制が再び働くと思われ、完全な回復にはまだまだ時間がかかると考えられる。

 

JR三ノ宮駅ビル跡地 期間限定でイベント会場に

 三宮再整備の一環で、JR西日本が建て替え計画を進める三ノ宮駅ビルの建設用地について、JR西や神戸市などが、一部を期間限定のイベント会場として活用する方針を固めた。新型コロナウイルスの影響で新ビル計画に遅れが生じ、都心の一等地がさら地のままという不測の事態を受けた対応。計画の進展が見込まれる来年9月下旬までを予定する。

神戸新聞 2020/12/9)

 新たに建て替えられるはずだった新JR三ノ宮駅ビルは、新型コロナウイルスによる影響を理由に建設計画が白紙になってしまった。その跡地の一部が期間限定のイベント会場として活用される方針が固まったと報じられた。イベント会場は、跡地のうち東側の3割程度を使用し、そこにステージなどを設け、週末に音楽ステージや飲食の屋台をはじめとする市民参加型の企画を計画しているそうだ。神戸市は三宮交差点一帯の道路を封鎖し歩行者空間に転換する「三宮クロススクエア構想」を計画しており、今回のイベント活用は、屋外空間を活用した駅前のにぎわいづくりの実証実験も兼ね、再整備の機運を高める狙いとのことだ。

 報道では、計画の進展が見込まれる来年9月下旬までの予定とのことだが、いったん白紙になった計画が来年9月に新たな計画がまとまり、具体化に向けて動き始めるとも考えにくいし、せいぜい仮設の商業施設の計画が動き始めるかどうかというところだろう。しかし、神戸市としては、やはり神戸の玄関口たる三ノ宮駅の駅前が更地で仮囲いで覆われている というのはあまりに見栄えが悪く、しかも来年7月には兵庫県知事選挙、10月には神戸市長選挙が行われることを考えると、これをそのまま放置できないと考えたのではないだろうか。また、逆に言うと、来年の9月に計画が具体化すると考えていないからこそ、このような方策を取っているとも考えられる。

 

 また、次のようなニュースがあった。

 兵庫県と神戸市は15日午前、両者にまたがる施策を中心に情報交換する「兵庫県・神戸市調整会議」を兵庫県公館で開催した。兵庫県井戸敏三知事や同県の幹部、神戸市の久元喜造市長や同市の幹部ら約40人が集まった。兵庫県が幕末に設置された当時の県庁舎を復元する「兵庫津ミュージアム」の建設を進めていることを兵庫県側が説明すると、久元市長は「先般の市長副市長会議で議論して、(兵庫津ミュージアム)周辺の集客を増やすためのプロジェクトチームを作った」と述べ、地域の活性化に向けて連携することを改めて確認した。

 

(神戸経済ニュース 2020/12/15)

 

 

  そこで、久元市長は兵庫津ミュージアムの沿線となる地下鉄海岸線の全駅に「ストリートピアノ」を設置する構想を明らかにしたと報じられている。久元市長は「すべての駅にピアノが入っている地下鉄の路線というのは世界中にないのではないか」と語ったそうだ。地下鉄のすべての駅にピアノを設置することは「構想」と呼ぶような大げさな話ではないように思う。兵庫県の「兵庫津ミュージアム」は、兵庫県の観光の活性化として計画されているのだと思われるが、それに呼応する地元自治体が取り組む周辺の集客増の方策としてストリートピアノの設置という発想に驚く。久元市長のこの話を兵庫県知事はどのような気持ちで聞いたのだろうか。

井戸兵庫県知事が退任を表明

 兵庫県井戸敏三知事(75)は11日の県議会本会議で、来年夏に予定される次期知事選に立候補せず、同年7月末の任期満了で退任する意向を明らかにした。阪神・淡路大震災の復興事業が節目を迎え、行財政改革など重要施策にも道筋がついたことなどを理由とした。5期20年に及ぶ長期政権にピリオドが打たれる。

神戸新聞 2020/12/12)

  兵庫県井戸敏三知事が、11日の県議会本会議で、来年7月の任期満了で退任することを明らかにした。井戸知事は、75歳という高齢はさておいても、前回2017年の県知事選で多選批判にさらされながらも県政史上最多の5選を果たしたということもあり、今期で退任することはほとんど既定の事実だった。

 井戸知事は、総務官僚の出身で、阪神淡路大震災後の1996年に兵庫県の副知事となり、2001年7月に貝原知事の後を受けて兵庫県知事に初当選した。以後5期20年にわたって兵庫県知事を務めることとなった。

 

 井戸知事の功績としては、震災後の財政悪化に対する行財政改革が挙げられている。

 井戸知事の就任は、阪神大震災から6年後だった。震災の復旧・復興にかけた金額は16兆3千億円。うち1兆3千億円を県債で賄ったため、当初から厳しい財政運営を余儀なくされた。3割の職員削減などの行財政改革に取り組み、19年度決算で県債残高は3229億円まで減らした。

朝日新聞 2020/12/12) 

  また、2010年に発足した関西広域連合の初代連合長に選出され、今年12月に退任するまで10年間に渡り同連合を牽引したことも業績に挙げられるだろう。

 神戸との関わりでは、関西3空港問題の解決に向けて神戸市長以上に積極的な発言を続け、3空港懇談会の再開にこぎつけ、神戸空港の初の規制緩和を実現させたことも井戸知事の大きな功績といってよいだろう。

 人目を引くパフォーマンスをする人ではなかったが、その割には意外な存在感があり、「関東大震災が起きればチャンス」発言や、NHK大河ドラマ平清盛」についての「画面が汚い」発言などの「舌禍事件」を起こすこともたびたびあり、全国的な注目を集めることも多かった。特に新型コロナウイルス対応では、大阪府の吉村知事との対比で批判を浴びることも多かった。

 しかし、全般としては、非常に手堅く、優れたバランス感覚をもって、20年の長きにわたって兵庫県知事として安定した県政を実現したことは評価されるべきだろう。人物的にも「飾らない人柄」との評があり、実際、県知事会見の議事録を見ると、穏やかで丁寧な説明で、質問に対しても誠実に回答をしているのが印象的だ。また、久元神戸市長のように、職員を矢面に立たせるようなこともなく、高級車問題もそのような知事の姿勢のせいなのではないだろうか。

 後継については、金沢和夫副知事の名前が挙がっており、井戸知事は既に水面下で県議会最大会派・自民党の幹部に対し提示をしているようだ。対して自民党は、11日に金沢副知事を支援する方針を決めたと報じられている。ただし、満場一致というわけではなく、一部には異論もあり、多数決で決せられたとのことだ。(神戸新聞 2020/12/12)

 知事の退任表明がこの時期になったのは、大阪府での大阪都構想住民投票の動向を見定めてのことだったのかもしれない。

 

 金沢氏は、総務省出身の64歳で、2010年4月から副知事を務めており、10年以上も井戸知事と一緒に仕事をしてきたわけで、後継者としては順当なのだろう。

 

 一方、久元神戸市長の井戸知事退任のニュースに対する反応が次のとおり報じられている。

「昨日もお会いしたが、いつも通り気力、体力がみなぎっているご様子だったので驚いている。」神戸市の久元喜造市長のコメントからは、知事の退任表明が思いがけない出来事だったことがうかがえる。

神戸新聞 2020/12/12)

  井戸知事の退任はほぼ自明のことだったので、久元市長が驚いていることに逆に奇異な印象を受けるが、このあたりの動きについての情報が余り入っておらず、両者の関係が実は必ずしも緊密でないことを物語っているのかもしれない。

 久元市長は、金沢副知事より2年年長であり、兵庫県知事の世代交代は神戸市長にも影響を与えるかもしれない。

 

国際会議開催件数2019年 神戸市は国内第2位

 11月27日に日本政府観光局(JNTO)から発表された、2019年「日本の国際会議開催件数」によると、神戸市は年間438件の国際会議を開催し、東京23区に次いで国内第2位という結果に。3年連続で2位を堅守しました。内訳は前回同様、医学・科学技術関係の学会が一番多く193件、次いで社会学関係の会議が144件という結果でした。

 また、ICCA(国際会議協会)から今年5月に発表された、2019年1月~12月に世界で開催された国際会議の統計においても神戸は歴代最高位(初の2桁台)となる世界82位を獲得。

日本全体で開催された国際会議開催件数は前年比5.5%増の3621 件となっており、参加者総数は前年比8.4%増の200万人、うち外国人参加者数も前年比1.8%増の21.3万人となりました。

(神戸市 記者発表資料 2020/12/4)

 

神戸市:国際会議開催件数の都市ランキングが発表されました

 

 日本政府観光局が発表した2019年の国内での国際会議開催件数において、神戸市は東京23区に次いで国内第2位となった。国内第2位となるのは3年連続ということだ。

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日本政府観光局資料2020/11/27 から作成)

 

 これによると、神戸市は国内の並み居る大都市を抑え、堂々の第2位となっている。特に、近隣の競合都市である大阪市に対しては倍以上と大差をつけている。

 また、これらの国際会議における外国人の参加者を見ると、神戸市は第4位となっている。京都や横浜には及ばないものの、大阪市に対してはやはり大きな差を付けている。

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日本政府観光局資料2020/11/27 から作成)

 

  神戸市での国際会議の内訳は、医学・科学技術関係が193件、社会学関係が144件と、この二つで全体の4分の3を占め、学術系の会議が多い傾向があるようだ。総参加者数は200万人で、神戸市内の平成元年度の観光客数は日帰り客1,742 万人、宿泊客477 万人の合計2,219 万人であることを考えると、かなりの経済効果があると考えられる。 

 近年の神戸市の様々な方面における劣勢の中では数少ない実績を上げている分野と言えるだろう。この結果を見ると、コンベンション産業は神戸市が比較優位を持つ分野であると言ってよいだろう。どうして神戸市がこういう結果を残せているかというと、神戸市の持っている基礎的条件が優位に働いているからだと考えられる。

 一つは、国内の中央部にあるという地理的条件、新幹線や空港を擁する優れた交通条件、さらに風光明媚な都市景観、豊富な食文化などがあり、さらには周辺の京都、大阪、姫路などの世界的な観光地があることなどが強みである。神戸市としてはこの比較優位を持つ分野を守り、さらに発展させるよう努力をすべきだと考える。

 近年、他都市では大型施設を建設するなど積極的な投資を行っており、近隣の姫路市でも大規模なコンベンションセンターの建設が計画されている。神戸市でも現状に甘んじることなく積極的な投資を行うべきだと考える。投入できる資源に限りがある以上、こうした比較優位を持つ分野にこそ、重点的に投資をすべきだ。また、こうした優位性をさらに強めるよう交通機能の強化を図るべきだろう。

 コンベンション産業は、その経済効果だけでなく、都市の知名度、都市格をあげることにつながり、企業誘致にも効果があるだろう。コンベンション産業による集客は、ビジネス需要が乏しい神戸にとって企業誘致の足がかりとなりうると考えられる。

 神戸市は、平成25年3月に、「コンベンションセンター再構築基本構想 ~アジアの MICE センターを目指して~ 」という報告書を作成しているが、その後、何か進展したという情報を聞かない。

 

 現在は、コロナウイルス禍で世界的な人の移動が困難になり、人と人の接触を避けるようウェブによる会議等が行われるようになってきている。そのため、今後は、これまでのような人が直接集まって行う会議は少なくなるのではないかという予想もあるだろう。しかし、人が集まる会議は、単に「会議」を開くことだけではなく、それ以外の副次的役割や効能があったのだと考えられる。たとえば、会議の終了後の懇親であったり、観光や開催地の文化を知ることであったり、手触りや肌触り、空気やにおいなど、ウェブの平面的なディスプレイを通した情報だけでは得られない何かがあるのだと考えられる。もし、単に「会議」を開くだけであったら、コロナ禍以前に、会議は、そうした通信手段を用いたものにとっくに置き換えられていただろう。会議は、単に「会議」だけではないのだ。

 したがって、コロナ禍が克服された将来には、必ず、再び、以前のように人々が国境を越えて盛んに往来するようになるだろう。長期的に見れば、今日のコロナウイルス禍は攪乱要素であるとしても、その趨勢は変わらないと考える。

 

 

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久元市長 就任7周年インタビュー

 神戸市の久元市長は任期が残り1年となったことを受けて、NHKのインタビューに応じました。
 人口減少対策やコロナ対策などに全力を挙げる考えを示す一方、来年の市長選挙に立候補するかどうかは明言を避けました。

(略)
 この中で、3年前、2期目に当選した時の公約の達成状況について、「60点くらいかなと思う。点数が上がっていないのは、残念ながら人口減少に歯止めがかかっていないからだ。ただ、バランスのとれたまちづくりや拠点駅の整備にはめどがつけられたので、一定の前進があったと考えている」と総括しました。
(略)
 一方、久元市長は、来年の秋に予定されている、次の市長選挙に3期目を目指して立候補するのか問われたのに対して、「任期いっぱいまで全力で仕事をしたい。次の選挙については、自分自身が適任か自問自答しながら、しかるべき時期に判断したい」と明言を避けました。

(NHK NEWSWEB 2020/11/19)

 

 任期が残り1年となった久元神戸市長に対してNHKがインタビューを行った。インタビューは神戸新聞を始め複数の報道機関が行っているようであるが、「3期目の立候補について明言を避けた」と評している点が注目される。

 同インタビューでは公約の達成状況について、60点ぐらいと自己評価している。点数が上がっていない理由として、人口減少に歯止めがかかっていないことを理由に挙げている。

 久元市長が就任した当時、新市長に対する一番の期待は、当時はまだそれほど鮮明ではなかったが、勢いに陰りが差してきた神戸を活性化し、他の大都市に伍して再び力強い成長軌道に乗せることだったのではないだろうか。久元市長は、この期待に十分応えられただろうか。

 都市再生の中核となる三宮再開発は、バスターミナルの建設、市役所の建て替え、東遊園地とウォーターフロントの再整備を挙げて「人の流れができれば、三宮は大きく変わる」(朝日新聞 2020/11/21)としているが、これだけで神戸の都心の吸引力が高まるとは思えない。おまけに三宮再開発の中心となるはずのJR三ノ宮ターミナルビル計画はコロナ禍の中で「白紙」になってしまうという事態に陥ってしまっている。その一方で、六甲山上のビジネス拠点化や北区の里山移住を人口減少対策の切り札と考えているなど、的外れ感が著しい。

 久元市長は就任から丸7年たつが、未だ神戸の都心の活性化、神戸経済の復活という課題に有効な解決策を見いだせていない。解決策を考える場合には、まず、神戸の都心にどのような位置づけ、役割を与えるかということが先決問題だ。久元市長には決定的にこの点が欠けている。美しい街、歩きやすい街、クラシカルな街並み、それは都市の化粧直しではあっても、「だから何なのだ」ということだ。都市は社会を構成するものであるから、果たすべき役割や機能があるのだ。それは神戸市民にとっての役割、関西圏での役割、西日本、国内、世界での役割があるはずだ。その役割をきちんと定義ができていないから、方向性が見えないのだ。目標をきちんと定めないと努力の方向、優先順位が見えない。それができていないから、マスコミからも「総花的」と言われるのだ。しかし、久元市長はその指摘を受け入れることができず、記者に論旨のずれた反論を繰り返すばかりだ。

 

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 この記事の記者は、さすがに重要な点を見抜いている。

 

  これは筆者の仮説であるが、久元市長は博覧強記ではあるが、物事を構造的、分析的に捉えることが不得手なのではないだろうか。だから、重点事項、優先事項、戦略ポイントがなく、総花的になってしまうのだ。

 市長自身も自分が適任でないことに気がついているのかもしれない。今回のインタビューを読んでそのようにも感じた。次の選挙については、「自分自身が適任か自問自答しながら判断したい」という言葉にそれが表れているようにも思われる。

 

 

 今年1~9月に兵庫県から県外へ移った転出者が、県内への転入者を6515人上回り、全国47都道府県でワーストの「転出超過」になったことが県などへの取材で分かった。(略)

 兵庫県によると、県内では近年、20代前半の人口流出が課題に。県内には大学が多いが、卒業後、就職のため東京や大阪へ転出するケースが目立つという。さらに新型コロナの感染拡大以降、これまで多かった中国・四国地方などから兵庫への移動を見合わせる動きが出ており、転出超過の拡大に影響したとみられる。

神戸新聞 2020/11/17)

 

 最近も、総務省住民基本台帳に基づくデータで、2020年の1月~9月の人口移動で、兵庫県はマイナス6,515人となり、全国最大の転出超過数となったと報じられた。同じ期間での神戸市の社会増減の合計はマイナス1,279人で、兵庫県のこの結果に県庁所在都市である神戸市の動向も大きく影響していることは間違いないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナウイルス禍の下での関西3空港の状況(4)

 関西エアポートが10月の関西3空港の運航状況を発表した。

  

 

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 これによると、国内線の旅客数は、ほぼ半分程度にまで回復している。3空港の中では伊丹空港が一番順調に回復していて、関西空港神戸空港の回復は緩やかである。

 

          旅客数   国内線発着回数

 伊丹空港     △43%   △34%

 関西空港     △51%   △37%

 神戸空港     △49%   △24%

 

 国際線については、今なお運航停止と言ってよいような状況が続いている。

 

 

 新型コロナウイルスの影響で国際線の利用者の回復がすぐには見込めない中、全日空は、羽田、成田、関西、中部の4つの空港で減便や休止している国際線を今後、需要が回復して再開する場合は羽田空港を優先させる方針を固めました。需要が回復するまでの間、羽田空港に集約することで、コストの削減を図る考えで、すでに関係機関との調整や航空機の売却を始めています。

(NHK NEWSWEB 2020/10/21)

 

  全日空は、国際線の利用者の回復がすぐには見込めないことから、国際線を今後、需要が回復して再開する場合は羽田空港を優先させる方針を固めたと報じられている。これは国際線の話だが、国内線でも同様のことはあるだろう。関西3空港で考えると、伊丹空港へのシフトが顕著になるのではないだろうか。上記の3空港の旅客数の実績で伊丹空港の減少率が小さいのは、この事情が数字に表れているのではないだろうか。神戸空港でも同様の状況は生じるはずだが、神戸空港スカイマークが拠点を置いており、その点では幸いである。スカイマークは国内線中心であり、国際線のウエイトが高いANAやJALよりは早期の回復が見込めるだろう。

 

 スカイマーク(SKY)は12日、12月1日~来年1月12日の運航ダイヤを発表した。神戸空港発着便は、12月1日に長崎線1便を運休する以外は通常運航(1日46便)に戻す。国の観光支援事業「Go To トラベル」の効果などで需要が回復傾向で、年末年始の帰省にも対応する。

 神戸発着便がほぼ通常運航に戻るのは約9カ月ぶり。(以下略)

神戸新聞 2020/11/12)

 

  新型コロナウイルス禍は、関西3空港の中では関西空港に最も大きな影響を及ぼすと予想される。しかし、神戸空港規制緩和ということを考えると、関西空港が回復しない限り神戸空港規制緩和に対する反対がやまないだろうから、神戸空港の国際化も先送りになるのではないかと予想する。

 

 そんな中で、11月28日に関西3空港懇談会が開催された。 

 関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港の役割を官民で話し合う「関西3空港懇談会」が28日、大阪市内で開かれた。新型コロナウイルス感染収束後の需要回復をにらみ、関西空港の就業者1万7千人の雇用を維持する必要性を確認。課題とする関西空港の発着枠拡大と、神戸空港の国際化は検討を継続することを申し合わせた。

 2025年大阪・関西万博に向け、新型コロナの水際対策や関西空港第1ターミナル改修を進めることも確認。財政支援などを求める国への要望書も決議した。

共同通信 2020/11/28)

 

 

 現在のような状況下では、空港の規制緩和などの新たな枠組みを議論することは困難であろう。そのような中で開かれた関西3空港懇談会であるが、おそらくは主たる目的は、関西国際空港への国の財政支援を求めることにあったのだろう。その開催の体裁として、神戸空港の国際化の検討の継続が確認されたということだと推測する。